鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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手首を使うたびに、肘の外側に「ズキッ」と痛みが走るテニス肘になると、楽しみにしている運動だけではなく日常生活にも支障をきたしてしまいますよね。
本記事では、テニス肘の痛みを緩和するツボや押し方のコツ、根本的に改善を目指す鍼灸治療について解説します。
このコラムの目次
テニス肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」という肘の疾患で、一般的に肘の外側から前腕(=肘から手首の部分)にかけて痛みが生じる、スポーツ障害のひとつです。
原因のほとんどは腕を酷使(オーバーユース)したために、肘の外側の筋肉に過度な負担がかかり炎症が起きていると考えられます。
テニスをする人に多い症状であることから、通称「テニス肘(テニスエルボー)」と呼ばれています。
ツボは東洋医学において、からだの不調が表れるポイントであり、改善するためのポイントでもあります。
私たちのからだには361箇所あるとされているツボですが、その中から今回紹介するのは、テニス肘に関わる筋肉(前腕の伸筋群と上腕骨外側上顆の周囲)をケアするツボです。
ツボを押すことで、その付近の血行が促進され、自然治癒力(=治ろうとする力)が高まり、テニス肘の痛み緩和に繋がります。
早速、テニス肘の緩和のために押したいツボをご紹介します。
加えて、肘の内側が痛いときやラケットを握って痛いとき、運動後の疲労回復として使えるツボもまとめていますのでイラストを参考に押してみましょう。
※個人の状態や体調によりベストなツボは変わりますので、あくまでも一般例として参考にしてください。
テニスでバックハンドストロークを打つときや日常生活の動作で、「ズキッ」と肘の外側に痛みがある方におすすめのツボです。
【探し方】親指を上にし、腕を前に出した状態で肘を曲げ、曲げてできたシワの先端のところ
【探し方】肘を曲げたときに出来るシワの外側から肩へ向かって親指1本分のところ
実は、肘に負担がかかる理由は肩の筋肉が硬くなりうまく動いていないことも関係しています。そのため、肩周りのツボを押すこともテニス肘の緩和に繋がります。
【探し方】背中側の脇の下のシワから上に1寸(1寸=親指の第1関節分の長さ)
肘の外側とは逆ですが、テニスでフォアハンドストロークを打ったときに、肘の内側に痛みを感じる場合は、こちらのツボを押しましょう。
【探し方】肘を曲げたときに出来るシワの小指側の先端のところ
ラケットを握るだけで、手首から肘にかけて「ズキッ」と痛みを感じるときに、おすすめのツボです。
また日常生活の中でドアノブを握る、ペットボトルを握るなど、何かを握るだけで痛みを感じたときも押してみましょう。
【探し方】肘を曲げたときに出来るシワの外側から手首に向かって指3本分のところ
【探し方】手首の真ん中よりやや小指側のくぼみのところ
親指・人差し指から腕や肘、肩まわりの筋肉をトータルに緩めたいときや疲労回復におすすめです。
上記のツボと組み合わせて押してあげましょう。
【探し方】人差し指と親指の骨が交差する場所から、やや人差し指よりにあるくぼみ
【探し方】肘を曲げたときにできる肘のシワの上で、しわの中央にある腱の外側のところ
ツボの正式名称は「経穴(けいけつ)」というだけあり、多くのツボは穴が開いたように少し凹んでいます。
慣れてきたら、体表の凹みに注目しながら触ってみましょう。
自分でツボを押すときは、次のことを意識して押してみましょう。
焦らずゆっくり、じんわり広がる刺激を感じながら行いましょう。
▼注意点 辛い症状を早く治したいばかりにグリグリと強く押すと逆効果です。優しくじんわり押してあげましょう。 |
忙しくてツボを押し続ける時間がない…という方は、貼るだけで効率よくツボを刺激できる鍼シールを活用するのもおすすめです。
鍼シールは、シールに短い鍼が付いたもので、時間や場所を選ばず、持続的にツボを刺激することができます。
運動中に痛みを感じたら、運動をすぐに中止し、アイシングを15分間ほど行いましょう。痛みや炎症を静めると同時に悪化を防ぐことに繋がります。
それでも痛みが引かなかったり、腫れや熱感があったりするようなら、なるべく早く整形外科を受診し、適切な診断・治療を受けましょう。
先ほども触れたように、テニス肘の痛みは肩周りの筋肉が硬く柔軟性がないことも関わっています。
そのため運動前後や日常生活の中でも1日数回は下記のようなストレッチを取り入れて、痛みの出ないからだ作りを心がけましょう。
▼肩周りのストレッチ(肩甲骨)
テニス肘の痛みを感じていても、「大した痛みではないから、そのまま様子を見よう…」と軽く考え、放置している方もいるかもしれません。
テニスを定期的にプレーする方の場合、初期症状はバックハンドストロークで痛みを感じる程度ですが、放っておくと下記のように痛みが進行します。
▼テニス肘の痛みの分類
ステージ3になると、カバンを持ち上げる、タオルを絞る、ドアノブをまわす、キーボードを打つなど日常生活のささいな動作でも肘周辺に「ピキーン」と激痛が走るようになります。
ここまでテニス肘が悪化してしまうと、回復に時間がかかってしまうばかりか、運動が出来なくなる可能性もあります。そうなる前に少しでも気になる方は、早めに整形外科を受診し治療を受けましょう。
悪化する前のセルフケアとしてツボ押しを取り入れている方もいるでしょう。しかし一般向けのツボ押しだけでは効果が限られるため、根本的な改善には不十分なこともあります。
そこで、テニス肘を根本解決したいなら、ツボのプロである鍼灸師に相談し、オーダーメイドの鍼灸治療を受けてみましょう。
鍼灸治療はからだ全体のバランスを整え不調の改善を目指す東洋医学の一分野で、文字通り、鍼(はり)やお灸(きゅう)を使いツボを刺激する治療法です。
テニス肘の状態を相談し、症状に合わせたツボや筋肉に鍼灸治療を受けることで、血行を促し、自然治癒力(=治ろうとする力)が高まるので、テニス肘の痛み緩和や改善、悪化防止に繋がります。
最初にテニス肘はスポーツ障害と説明しましたが、鍼灸治療の中には東洋医学とスポーツ医学を組み合わせた、スポーツ鍼灸というジャンルがあり、スポーツをする人の心とからだのコンディショニングに特化した治療が特徴です。
最近では、プロやアマチュアを問わず、スポーツ鍼灸を得意とする鍼灸師にコンディショニングの維持を任せ、最高のパフォーマンスを目指す方も多くなっています。
今、悩まれているテニス肘もスポーツ鍼灸で治療しながら、普段のセルフケアやツボ押しを継続することで、テニス肘の改善・予防だけでなく、パフォーマンス向上や疲労回復などにも繋がります。
気になる方は早速「スポーツ鍼灸」のジャンルを選んでお近くの鍼灸院を見てみましょう。
最後に、鍼灸に関するよくある質問についてお答えします。
考えられる原因はさまざまです。
例えば、ツボの押し方が適切ではない、症状が慢性的である、生活習慣そのものを見直していく必要があるなど、何が問題なのかつきとめる必要があります。
まずは専門家である鍼灸師にアドバイスをもらうことをおすすめします。
一時的に眠気やだるさといった好転反応が出る場合がありますが、数時間~数日で良くなることがほとんどです。
鍼灸院によって異なりますが、一般的には1回6,000円~7,000円くらいです。費用については、鍼灸院のホームページで確認してください。
鍼灸院は、得意とする治療領域も違うため、ご自分の通いやすさや目的などによって選ぶようにしましょう。
本記事では、テニス肘について、セルフケアのためのツボ押しや根本的な解決法についてご紹介しました。
テニス肘の痛みでお悩みなら、この記事を参考に、まずはツボ押しを試してみましょう。
また、根本的な改善と、運動を続けるためにコンディションも整えたいと考えるなら、ぜひ鍼灸治療を検討してみて下さい。
このコラムの監修者
奥山千晴
鍼灸治療院 千鍼院長
一般社団法人 山形県鍼灸師会会長
一般社団法人 山形県保鍼会会長
はり師、きゅう師
1975年11月生まれ。1997年、関西鍼灸短期大学卒業 はり師・きゅう師免許取得。2001年、鍼灸治療院千鍼開業。 経絡治療や中医学をベースに薬膳、気功なども学ぶ。 モットーは温故知新