鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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健康維持やテレワークによる運動不足解消のため運動を始める方も増える中、「ランナー膝」がなかなか治らず、もどかしい思いを抱えている方もいるでしょう。スポーツ大会などが間近に迫っていれば尚更です。
早く不快な膝の痛みを治して、これからもイキイキと運動を続けたいですよね。
そこで本記事では、ランナー膝の応急処置をはじめ、セルフケアとして実践できるストレッチやツボ押し、病院での治療法などを紹介します。根本から改善を目指す治療法も紹介しているので、ぜひご覧ください。
このコラムの目次
ランナー膝は、ランニングをする人に多く見られる膝の外側に痛みが出るスポーツ障害のひとつです。「ランナーズニー」や「腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)」とも呼ばれています。
ランナー膝の主な原因は、オーバーユース(使いすぎ)によって膝の外側の靱帯と骨が繰り返し摩擦することで発症します。
適切な対応をしないまま痛みを我慢して運動を続けると、症状が悪化したり、長期化したりして、運動の継続が困難になります。
そうなる前に、次章で紹介する方法を実践し症状の改善を目指しましょう。
ランナー膝の初期(=走り出しに違和感・痛みがあるが、走っていると気にならなくなるレベル)であればセルフケアで改善する可能性があります。
ただし前提として、ランナー膝は運動によって発症する症状なので、運動量をコントロールすることが重要です。
など、症状の程度や感じ方に応じて運動量をコントロールしましょう。
その上で、これから紹介するセルフケアを行ってみてください。痛みが治まった後も継続することで、再発防止に繋がります。
違和感や痛みなどの症状が出たときは運動をやめ、患部を10分程度アイシングをします。
すぐに炎症を鎮めることで悪化を防ぐことに繋がります。
運動中や普段から、膝の周りをテーピングやサポーターで保護・固定することで患部の負担を軽減してくれます。
テーピングを正しく貼れない場合は、装着が簡単なサポーターを活用すると良いでしょう。
ランナー膝の靱帯に関連する太ももやお尻の筋肉をストレッチするのもおすすめです。
ストレッチをすると、ランナー膝に関連する筋肉や患部周囲の血行が良くなり、疲労した筋肉の緊張をほぐしたり、痛みを軽減したりすることができます。
運動の前後は入念に行い、日々のケアではからだが温まっている入浴後などに行うと良いでしょう。
▼大腿四頭筋ストレッチ
▼太もものストレッチ
違和感が慢性化していたら、ツボ押しにもトライしてみましょう。
ツボを刺激することで、血行が促進され自然治癒力(=治ろうとする力)が高まるので、ランナー膝の緩和・改善に繋がります。
場所や時間を選ばないので、気になったときやリラックスしているときに行ってください。
▼ポイント
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【探し方】膝をやや曲げた状態で、膝のお皿のてっぺんから外側へ指を滑らせていくと、太くて幅のある腸脛靱帯に触れる。さらに指を進め、腸脛靱帯の後ろ際にあるくぼみ
【探し方】立って“気をつけ”をした姿勢で、手のひらを太ももの横につける。その位置で、幅が広い腸脛靱帯の後ろ側で中指の先にあるくぼみ
ランナー膝に効果的なツボを刺激する方法として、鍼シールもおすすめです。
鍼シールは、自分で手軽に貼ることができるセルフケアでも使われる鍼です。
運動中や仕事中でも利用でき、ツボを持続的に刺激することができます。
ここまでランナー膝のセルフケアを紹介してきましたが、症状の改善がみられず、進行している場合はセルフケアだけでは不十分かもしれません。
上記の方法を実践しても良くなっている気がしない、本当にランナー膝なのか…と不安な方は放っておかず、早めに整形外科を受診しましょう。
整形外科の治療法は保存療法が一般的です。
運動療法としてストレッチの指導も行われます。その際にテーピングのやり方も聞いてみましょう。
症状の状態によって個人差はありますが、保存療法によりだいたい6ヶ月程度で改善すると言われています。
参照:腸脛靱帯炎|慢性痛治療の専門医による痛みと身体のQ&A
しかし、治療をしないで放置したり、無理をして運動を継続していると長期化する場合があります。また、根本的な治療ができていないと痛みが改善せず症状が長引くことがあります。
「根本からできるだけ早く治すために、保存療法やセルフケア以外にできることはないの?」と、別の治療法をお探しの方もいるかもしれません。
ランナー膝の根本治療には、鍼灸治療も検討することができます。実際、ランナー膝の治療として鍼灸治療を取り入れる方も多いです。
そもそも鍼灸治療とは、からだの不調の根本原因にアプローチする東洋医学の一分野で、不調の原因に直接アプローチしたり、全身の調整を行ったりすることで、不調を改善して状態を整える治療法です。
専用の鍼(はり)やお灸(きゅう)を使いランナー膝の症状に合わせたツボを刺激することで血行を良くし、自然治癒力(=治ろうとする力)を高め改善を促すため、膝の痛みの軽減や筋の緊張緩和などの効果が期待できます。
また患部だけではなく、それに関連する部位(筋肉や関節など)やツボを活用した全身的なアプローチを行うので、日々のトレーニングや生活の疲労回復やパフォーマンス向上・維持にも繋がります。
鍼灸治療の中でもランナー膝をはじめ、スポーツによるケガや不調(スポーツ障害)の治療や予防などを得意とするジャンルが「スポーツ鍼灸」です。
スポーツ鍼灸は、一般的な鍼灸治療にストレッチやマッサージなどを加えて、スポーツをする人の心とからだのコンディショニングを行うのが特徴です。
前半で紹介したセルフケアより、さらに自分の症状や状態に合った的確なセルフケアやトレーニングについてアドバイスを受けることができるので、いつまでも運動を楽しめる健康的なからだづくりのサポートになるでしょう。
気になる方は早速「スポーツ鍼灸」のジャンルを選んでお近くの鍼灸院を見てみましょう。
本記事では、ランナー膝の治し方について解説しました。
症状が悪化し運動の継続が困難になる前に、適切なケアを行い、改善を目指しましょう。
もし、セルフケアだけでは物足りない、根本からしっかり治したい…という方は、ぜひスポーツ鍼灸を検討してみてください。
このコラムの監修者
櫻庭陽
国立大学法人 筑波技術大学 保健科学部附属東西医学統合医療センター 准教授
(公社)全日本鍼灸学会、日本臨床スポーツ医学会、日本透析医学会、日本統合医療学会
はり師・きゅう師、健康運動指導士
統合医療施設で鍼灸外来を担当。研究領域は、スポーツや健康運動、血液透析医療、M-Testのほか、鍼灸あん摩マッサージ指圧師のリカレント教育にも携わる。全日本鍼灸学会スポーツ鍼灸委員会委員、学校法人滋慶学園 東京メディカル・スポーツ専門学校教育課程編成員、M-Test研究会インストラクター。