鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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膝の外側に「ズキズキ」とした痛みが走る腸脛靭帯炎は、歩いたり、走ったりするたびに地味な痛みが続くので不快ですよね。「セルフケアでできることは何でもして早く治したい」という方も多いでしょう。
そんな方はツボを押して腸脛靱帯炎をケアしましょう。
本記事では、腸脛靭帯炎に効果的なツボやツボ押しのコツ、その他のセルフケアをご紹介します。根本解決のための治療法も説明しているので、ぜひご覧ください。
このコラムの目次
腸脛靱帯炎は、膝の外側に痛みが出る膝の疾患で、ランニングをする人に多いことから「ランナーズニー」「ランナー膝」とも呼ばれるスポーツ障害のひとつです。
主な原因は、オーバーユース(使いすぎ)によって膝の外側の靱帯と骨が繰り返し摩擦することで炎症を生じます。
そもそもツボは私たちのからだに361個もあり、それらに送る刺激は、血行の促進や痛みの改善、筋の緊張緩和などの効果に繋がると考えられています。
その中から今回紹介する、腸脛靱帯炎のケアに効果的なツボを押すことで、その付近の血行が促進され、自然治癒力(=治ろうとする力)が高まり、腸脛靱帯炎の痛み緩和や改善に繋がるといった具合です。
早速、腸脛靱帯炎のケアに効果的なツボを紹介します。
特にここでは、膝の痛みに関わる筋肉(大腿筋膜張筋・大腿四頭筋外側広筋)や膝に負担がかかりやすい姿勢をつくってしまう筋肉(大殿筋など)にアプローチするツボを中心にまとめています。
※個人の状態や体調によりベストなツボは変わりますので、あくまでも一般例として参考にしてください。
【探し方】膝をやや曲げた状態で、膝のお皿のてっぺんから外側へ指を滑らせていくと、太くて幅のある腸脛靱帯に触れる。さらに指を進め、腸脛靱帯の後ろ際にあるくぼみ
【探し方】膝のお皿の下の高さで、外側の骨のでっぱり(腓骨頭)のすぐ下のくぼみ
【探し方】立って“気をつけ”をした姿勢で、手のひらを太ももの横につける。その位置で、幅が広い腸脛靱帯の後ろ側で中指の先にあるくぼみ
このツボはお尻の筋肉をほぐすイメージで押します。座った状態で、テニスボールをお尻の下に挟むと効率的にツボを刺激できます。
【探し方】お尻のやや外側で、力を入れるとくぼむところ
腸脛靱帯炎に直接には関わりませんが、ランニングやウォーキング後の足の疲労回復をサポートしてくれます。
【探し方】膝のお皿の左右にある大きなくぼみのうち、外側のくぼみから下に指4本分のところ
ツボの正式名称は「経穴(けいけつ)」というだけあり、多くのツボは穴が開いたように少し凹んでいます。
おおよその場所を把握して、その周辺で圧痛点(押していたいところ)を探したり、軽く撫でながら凹んだりしているところを探すと、ツボが見つかります。
自分でツボを押すときは、次のことも意識して押してみてくださいね。
焦らずゆっくり、じんわり広がる刺激を感じながら行いましょう。
▼注意点 辛い症状を早く治したいばかりにグリグリと強く押すと逆効果です。優しくじんわり押してあげましょう。 |
ツボを押したいけれど、時間がなくて続かない…という方におすすめなのが、貼るだけでツボを刺激できる鍼シールです。
鍼シールは、短い鍼がシールに付いているので、運動時や仕事中でも継続的にツボを刺激することができます。
鍼灸院での治療や、スポーツの現場など、さまざまな症状や場面で広く用いられています。
運動中に腸脛靭帯炎の鋭い痛みや異常を感じたら走るのをやめ、しばらく安静にしましょう。
患部に熱感があるようならアイシングを10分ほどをすることで悪化の予防に繋がります。
先ほどのツボ押しに加え、運動前後にストレッチを取り入れるのもセルフケアとして効果的です。
▼大腿四頭筋のストレッチ
▼太もものストレッチング
「大した痛みではないから大丈夫」と放っておくと症状が悪化し、日常生活や楽しんでいた運動に影響を及ぼすこともあります。
症状の経過を以下にまとめました。
▼腸脛靱帯炎の症状
ステージ1は、セルフケアで解消する可能性があります。セルフケアで改善しなかったり、ステージ2以降になったときは、運動の中止を検討しなければなりません。
セルフケアや運動の中止で改善しない、痛み強くなる場合は、早めに整形外科を受診し診断・治療を受けましょう。
ツボ押しはいつでも手軽にできる一方で、ツボの位置がズレていたり、効果的な押し方ができていないと、効果が限られ症状が改善しないこともあります。
そのようなときは、ツボのプロである鍼灸師に相談して、ツボの効果を最大限に引き出してくれる鍼灸治療を受けてみましょう。
そもそも鍼灸治療とは、からだの不調の根本原因にアプローチする東洋医学の一分野で、鍼(はり)やお灸(きゅう)を使ってツボを刺激して、不調の原因を改善したり、全身の調整を行ったりする治療法です。
腸脛靱帯炎の状態を相談し、症状に合わせたツボや筋肉に鍼灸治療を受けることで、患部やその周辺の循環が改善されて痛みが緩和されます。さらに、自然治癒力(=治ろうとする力)が高まることで症状とともに全身状態の改善も期待できます。
また膝まわりだけでなく、腸脛靱帯炎に関連する部位(筋肉や関節など)やツボを活用した全身的なアプローチも行うので、運動のパフォーマンスの向上・維持や疲労回復にも繋がります。
鍼灸治療には、スポーツ特有のケガや不調の治療・予防を得意とする「スポーツ鍼灸」というジャンルがあります。
一般的な鍼灸治療にストレッチやマッサージなどを加えて、スポーツをする人の心とからだのコンディショニングを行います。これによって、パフォーマンスの維持や向上に繋げていきます。
スポーツ鍼灸と聞くと、プロの選手が受けるものと思われるかもしれませんが、一般の方も受けることができます。最近では趣味のスポーツを楽しむためにメンテナンスとして取り入れている方も多くいます。
気になる方は、下記のサイトから「スポーツ鍼灸」のジャンルを選んでお近くの鍼灸院を見てみましょう。
最後に、鍼灸に関するよくある質問についてお答えします。
考えられる原因はさまざまです。
例えば、ツボの押し方が適切ではない、症状が慢性的である、生活習慣そのものを見直していく必要があるなど、何が問題なのかつきとめる必要があります。
まずは専門家である鍼灸師にアドバイスをもらうことをおすすめします。
一時的に眠気やだるさといった好転反応が出る場合があります。
副作用の出現には個人差があり、鍼灸治療の経験やその日の体調なども影響すると考えられています。
もし好転反応が起きても数時間から数日で回復するので、心配はありません。
それぞれの鍼灸院によって異なりますが、一般的には1回6,000円~7,000円くらいです。
鍼灸院に行く前に、ホームページで確認してください。
鍼灸院は、得意とする治療領域も違うため、ご自分の通いやすさや目的などによって選ぶようにしましょう。
本記事では、腸脛靭帯炎についてのセルフケアのツボ押しだけでなく、ストレッチについてもご紹介しました。
ツボ押しは、時間や場所を選ばずすぐにできるセルフケアです。違和感やちょっとした痛みを感じたときだけでなく、普段からも押すことで、症状の悪化や予防が期待できます。
セルフケアだけでは改善しない場合や、根本的に解決したいという方は、鍼灸治療を検討してみてください。
このコラムの監修者
櫻庭陽
国立大学法人 筑波技術大学 保健科学部附属東西医学統合医療センター 准教授
(公社)全日本鍼灸学会、日本臨床スポーツ医学会、日本透析医学会、日本統合医療学会
はり師・きゅう師、健康運動指導士
統合医療施設で鍼灸外来を担当。研究領域は、スポーツや健康運動、血液透析医療、M-Testのほか、鍼灸あん摩マッサージ指圧師のリカレント教育にも携わる。全日本鍼灸学会スポーツ鍼灸委員会委員、学校法人滋慶学園 東京メディカル・スポーツ専門学校教育課程編成員、M-Test研究会インストラクター。