5分でわかる鍼灸の副作用!対処法やメカニズムについても解説

一般的に鍼やお灸による治療は「副作用」が少ないとされています。

よくある症状は倦怠感や眠気などで、これは「副作用」のなかの「体調の変化」であることがほとんどです。

しかし、鍼灸を受けるときの心構えとして、どんな変化があり得るのかは事前に知っておきたいですよね。

そこで本記事では、鍼灸に対する不安を取り除きたいと思っている方に向けて、鍼灸で起こりうる体調の変化やその対処法、鍼灸を安心して受けるためのポイントを徹底的に解説します。

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鍼灸の副作用とは?種類とメカニズムについて

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さまざまな治療法がある中で、鍼灸は比較的、副作用が少ないといわれています。

そもそも鍼灸の「副作用」とは、からだへの刺激によって起こり得る変化(二次反応)のことを指します。その原因は、刺激量の多さや、患者本人の敏感肌やアトピー体質によるものです。

そのため鍼灸治療によって生じる体調の変化のほとんどは「好転反応」と呼ばれるもので、からだが治ろうとする正常な反応です。

しかし一方で、鍼灸治療を受けた直後から翌日にかけて一時的に、疲労感、倦怠感、眠気、掻痒感(かゆみ)、めまい、ふらつき、吐き気などの体調不良感が出ることがあります。

本章では、それぞれの症状についてメカニズムと対処法を説明します。

鍼の好転反応

ここでは、鍼の好転反応について説明します。

疲労感・倦怠感

運動をした後や温泉で軽くのぼせた時のような、重だるさを感じます。これは、からだ全体の血行が高まることや刺激が少し強すぎたことにより、からだがビックリした状態です。

一時的なもので、半日程度で自然と消えていきますのでご安心ください。

眠気

鍼の治療中や治療後は、眠気が強くなることがあります。

これは、血行が高まることによりからだが温まり、自律神経の副交感神経が優位に働いている状態です。つまり鍼治療による自然治癒力が高まっている良い証拠です。

眠気を感じるのは、「からだの修復作業をするので寝てください。」という脳からのサインです。可能であれば短時間でもお昼寝をしたり、早めに就寝すると鍼治療の効果も最大限に引き出されます。

翌朝はからだも軽くなり、普段より「よく眠れた!」と感じるはずです。

掻痒感(かゆみ)

鍼を刺した箇所にムズムズするようなかゆみを感じることがあります。

これは、鍼によって治療したところの血行が良くなり、からだがその部分の組織を作り変えようとしているためです。また、かゆみの原因物質であるヒスタミンや鎮痛作用の内因性オピオイドが関わるとも考えられています。この反応は、正常な反応です。

かゆみが出現した場合は、半日ほどで改善されます。我慢できない場合は、冷やしたり、気を紛らわす工夫をするといいでしょう。

注意したいのは、強いかゆみや腫れが2~3日続く場合は、アレルギー反応等による可能性があるので皮膚科を受診しましょう。

めまい・ふらつき

座位での鍼の治療後や、治療後ベッドから起き上がる際に、めまいやふらつきが出現する場合があります。

これらの反応は、加えた刺激が強すぎたり、からだが過剰に反応したために一時的に血圧や心拍数が下がり、脳貧血が起こるためと考えられます。

個人差やその日の体調によって異なりますが、心配な方は担当の鍼灸師にご相談ください。

吐き気

めまい・ふらつきと同様に、刺激量がオーバーした時や、体調が良くない時(不眠・疲労・空腹など)や体力が消耗している時に起こりやすいです。

そんな時は、その場で鍼灸師に伝えてください。

参考:鍼灸情報センター、はりきゅう理論(公益社団法人東洋療法学校協会)第8章リスク管理 2.鍼療法の過誤と副作用

〈副作用ではない、有害事象について〉

Q:感染症を引き起こしたり、鍼が折れて体内に残ることはありますか?

A:このような状況は、医療ミス(有害事象)に分類されます。

現在の現場で使用されている多くの鍼はディスポーザブル(使い捨て)鍼なので、感染したり複数回使用することがないため、複数回使用での鍼の耐久性の低下がなく折れる心配は限りなく少ないです。

なお折鍼の原因は、患者の急な体動により抜けにくくなった鍼を不適切に抜き取ろうとすることで起こります。その場で抜き取ることができなければ、すぐに外科手術が必要となります。

鍼灸で体調不良になったら、どう対処すれば良い?

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もし鍼灸治療の直後にめまい・ふらつき・吐き気などの反応が出たらとても不安になりますよね。そこで本章では、からだに何らかの症状が出た場合の対処法について説明します。

好転反応の対処法

まずは無理に起き上がろうとはせず、遠慮なく鍼灸師に伝えてください。

  • 仰向けで寝て、頭部を低くして安静にする
  • 温かくしてしばらく休む

など適切な処置をして休憩すれば、数十分~1時間程度でおさまります。

疲労感・倦怠感・眠気・かゆみのような好転反応の場合の対処法は、しっかり眠ることです。治療を受けたその晩は、できるだけ早めに布団に入りましょう。

睡眠時間は、7~8時間が理想的です。翌朝には好転反応も消えて、スッキリと目覚められるでしょう。

患者自身ができること

人によって、また日によって、適切な治療法・刺激量は変化します。適切な鍼灸施術のためには患者と鍼灸師のコミュニケーションが重要です。

鍼灸師は、なるべく患者のからだの負担にならないように注意して治療をしていますが、初めての患者の場合は、刺激量の判断が難しいこともあります。

少しの体調の変化でも、「鍼は効いているのか」「刺激量は適切か」「日常生活ではこんなアドバイスをしよう」などの判断材料になりますので、心配なことがあれば遠慮なく伝えてくださいね。

鍼灸をおすすめできない人は?

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からだが良くなるための変化である好転反応も理解したし、体調不良になった時の対処法もわかりましたね。

「でも、持病がある私は鍼を受けられないのでしょうか?」

「妊娠中の妻は、肩こりと腰痛に悩んでいます。鍼灸はできますか?」

という疑問をお持ちの方もいると思います。

鍼灸は、基本的にはどなたでも受けられますしかし、その日の体調によっては鍼灸治療を控えたり、かかりつけ医に相談する必要があります

WHOのガイドライン(1999年)では、安定期以外の次の状態での鍼治療は避けるべきとされています。

1. 妊娠(陣痛を誘発する可能性、流産を誘発する可能性がある)
2. 緊急事態もしくは手術を必要とする場合
3. 悪性腫瘍(腫瘍への直接刺激を避ける)
4. 出血性の疾患(出血性もしくは凝血性疾患、または抗凝血治療中か抗凝血剤使用中の患者)

参考:WHOガイドライン

その他一般的には、高熱の場合、意識障害がある場合、知覚障害がある場合なども鍼灸治療は避けるべきと判断されます。

上記に当てはまるような大きな病気を抱えていたりや危険な状況でなければ基本的には問題がありません。

心配な方は、かかりつけ医に一度相談してください。

妊娠中の鍼灸に関しての補足ポイント

結論、妊娠中でも鍼灸は受けられます。

WHOのガイドラインでは妊娠中の鍼灸は避けるべきとされていますが、近年需要は増えています。

医学論文のレビューを行なう国際団体コクランによるレビューでは、「妊娠中の鍼灸による危害の客観的証拠はない」と明記されています。

期待される効果としては、逆子や妊娠中のマイナートラブル(腰痛、つわり、消化不良、うつ病、不眠など)があります。産婦人科と鍼灸院が共同でマタニティケアを導入している院もあるほど注目されている分野です。

念のため、予約の際には妊娠中でも対応できるか鍼灸院に確認してみましょう。

参考:The Safety of Obstetric Acupuncture: Forbidden Points Revisited, 2018

鍼灸を安心・安全に受けるためのポイント

次に、初めて鍼灸を受ける方が知っておきたい、鍼灸を安心・安全に受けるためのポイントをご紹介します。

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治療前(選ぶ)

鍼灸院によって得意分野はさまざまです。自分の心とからだの悩みを解決してくれそうな鍼灸院を選びましょう。

選ぶ際は次のポイントをチェックしてみましょう。

1. 鍼灸師が国家資格を取得している

まずは、「鍼灸院」「鍼灸接骨院」の名前がついている院を探しましょう。

「鍼灸師」は、国家資格を持つ医療従事者です。

鍼灸師になるには、少なくとも3年間は鍼灸の専門学校または大学で座学と実技を学び、国家試験に合格し、厚生労働省の「はり師」「きゅう師」の双方の国家資格免許を取得する必要があります。

国家資格のあん摩マッサージ指圧師・柔道整復師や、民間認定資格の整体師・タイ古式マッサージ・カイロプラクター・セラピストは鍼灸治療を行うことができません。はり師以外は鍼治療を業として行えませんので、必ず「鍼灸師」の先生に鍼治療をしてもらいましょう。

2. 鍼灸師の臨床経験が豊富か

初めて鍼灸を受ける方はひとつの基準として、その鍼灸師の治療経験についてどういう治療を得意としてやってきたかを目安にしましょう。

しかしながら、一番大事なのは、担当の鍼灸師とご自分の相性です。実際に鍼灸院に通いコミュニケーションをとってから判断することをおすすめします。

3. 患者さんの口コミが高評価か

好印象の口コミが多い院や先生は安心できます。ご家族やご友人の直接の口コミはもちろん、ホームページの「お客様の声」や口コミサイトも参考に、どういう鍼灸治療を行なっているのか調べてみてください。

鍼灸院の選び方がわからない方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
初めての鍼灸院の選び方!失敗しない見極めポイント7つを徹底解説

治療直前(当日)

激しい運動・お酒は控え、発熱がないか確認してください。また、食後30分以上はあけて来院しましょう。

1. 服装について

動きやすく、着脱が簡単な服装が好ましいです。

鍼灸院によっては、着替えを貸し出してくれるところもあります。仕事終わりにスーツで来院される方は予約の際に確認してみましょう。

2. 美容鍼を受ける方

鍼灸院によってはお化粧落としをお願いされることがありますのでご留意ください。

治療後(当日)

治療後すぐは入浴を控え、暴飲暴食は避けて、十分に水分を摂取しましょう。

鍼を刺したからと言って特別注意することはありません。お風呂でも、普段通りからだを洗って問題ありません。

からだを労わる”養生の日”だと思って、夜は早めにお布団に入りましょう。

鍼治療の翌日以降も体調不良が続く場合の対処法

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最後に、鍼灸治療の翌日以降も体調が改善しない場合の対処法を説明します。

もし、好転反応と思われた症状が翌日以降も続いたり、明らかに症状が重くなった場合は、一度治療を受けた鍼灸師に連絡し、指示を受けてください。

多くの鍼灸院は、病院受診が必要な場合は紹介をしてくれます。

【Q&A】鍼治療に関するよくある質問

最後に、鍼灸に関してよくある質問についてお答えします。

Q:鍼による跡(発赤)や内出血はどれくらいで消えますか?

症状が消える目安は以下の通りです。

  • 鍼をしたところの発赤:2~3日以内
  • 内出血:1週間~10日ほど

これらの症状が長く残ることはないので、安心してください。もし、上記の期間以上消えない場合や異変を感じた場合は、先生にご相談ください。

Q:鍼は痛いですか?

鍼灸院で使われる鍼の太さは、髪の毛と同じくらい細いので、基本的には痛みの心配はありません。ただし、皮膚には痛みを感じやすい点(痛点)が無数にあり、稀に「チクッ」とすることもあります。

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もし痛みが強いと感じたら、担当の先生に伝えてください。

鍼が初めての方には鍼灸師も十分なフォローをしてくれるので、遠慮なく相談してください。

Q:妊娠中でも鍼治療は受けられますか?

はい、問題なく治療を受けていただけます。

妊娠中のトラブルに対して、できるだけお薬の使用は控えたい時期ですよね。鍼灸はお薬を使わないので、薬の副作用がなく安全性が高いことから、産科領域でも注目されています。

出産に向けて心身ともに準備する大切な時間を過ごせるよう、その日の体調や、楽な体勢によって柔軟に対応しますので、遠慮なくご相談ください。

Q:鍼の治療は健康保険で受けられますか?

次の6項目については可能です。

  1. 神経痛…例えば坐骨神経痛など。
  2. リウマチ…慢性で各関節が腫れて痛むもの。
  3. 腰痛症 …慢性の腰痛。
  4. 五十肩…肩の関節が痛く腕が挙がらないもの。
  5. 頚腕症候群…頚から肩、腕にかけてシビレ痛むもの。
  6. 頚椎捻挫後遺症…むち打ち症などの後遺症。

参考:公益社団法人日本鍼灸師会

ただし医師の同意が必要のため、必ず各鍼灸院に直接ご確認ください。鍼灸院に、医師に書いてもらう同意書の様式が用意してあります。

鍼灸院で保険適用は可能?手順や条件、負担額について

Q:鍼に興味はあるのですが、頻繁に外出できません。対策はありますか?

新型コロナウイルス感染防止対策や、子育て・介護中などで外出が難しい方には、鍼灸師が直接自宅にきて治療を行う往診がおすすめです。

往診の際、鍼灸師の衛生管理は十分に行っているので、安心して治療を受けることができます。心配な方は予約の際に直接確認してみると良いでしょう。

往診が可能な鍼灸院は、サイト内の「鍼灸院検索ページ」から検索できます。お近くの鍼灸院を探してみてくださいね。

まとめ|鍼灸によるだるさ・眠気はからだの素直な反応!

鍼灸によって起こる倦怠感・疲労感・眠気といった症状は好転反応といい、血行が促進され、自律神経の副交感神経が優位になり、自然治癒力が高まっているためであり、悪いものではありません。

普段頑張りすぎたからだが「休みたい」「休ませて」と言っている声を聞けるようになるのは、今後のセルフケアでも役立つはずです。

健康なからだになるために、鍼灸師がお手伝いします。ぜひ一度ご相談ください。

当サイトでは、全国14,200件以上の鍼灸院情報から、あなたのお悩みにぴったりの鍼灸院や施術プランを厳選して紹介しています。

この先の健康を見直したい
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など、ご希望の条件で鍼灸院を探してみてください。

このコラムの監修者

上野正博

(公社)全日本鍼灸学会 理事、北海道支部長

(公社)全日本鍼灸学会

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

(公社)全日本鍼灸学会理事及び北海道支部長として鍼灸師の交流及び鍼灸の普及に尽力。一方、スキージャンプ金メダリストの船木和喜のF.I.Tスキーチームトレーナー、(公財)日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)として活躍中。現在は、北海道ハイテクノロジー専門学校スポーツトレーナー学科学科長及び鍼灸学科専任教員として勤務。

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