鍼灸院で保険適用は可能?手順や条件、負担額について

鍼治療は高いというイメージがある方も、保険を適用することで安心して治療を受けることができます。適用には必要な手順や条件がありますので、詳しく解説していきます。

皆さんは、鍼灸院での保険適用について考えたことはありますか?

鍼治療は、保険を適用すると実質の負担額が1〜3割になる可能性があるのです。

本記事では、鍼灸院に「通う」ことを前提に考えている方のために、鍼灸院での保険適用について詳しく解説します。

鍼灸治療に保険は適用されるのか?

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鍼治療は、以下の条件を満たせば保険を適用することができます。

▼保険適用の条件
  • 保険治療の対象となる症状であること
  • 医師から鍼灸治療の同意があること
  • 保険を適用することで負担額が1〜3割となります。

    〈医療費の一部負担割合について〉

    • 75歳以上の者は、1割(現役並みの所得者は3割)
    • 70歳から74歳までの者は、2割(現役並みの所得者は3割)
    • 70歳未満の者は3割。6歳(義務教育就学前)未満の者は2割

    参考資料:医療費一部負担(自己負担)割合について|厚生労働省

    まずはどんな症状が保険に適用されるのか見ていきましょう。

    保険が適用される7つの症状について

    鍼治療で保険を適用させるには、対象の症状での治療が条件となります。

    以下の症状が保険適用の対象となります。

    1. 神経痛…例えば坐骨神経痛など。
    2. リウマチ…慢性で各関節が腫れて痛む自己免疫性疾患。
    3. 腰痛症 …慢性の腰痛。
    4. 五十肩…肩の関節が痛く腕が挙がらないもの。
    5. 頚腕症候群…頚から肩、腕にかけてシビレて痛むもの。
    6. 頚椎捻挫後遺症…むち打ち症などの後遺症。

    参考:公益社団法人日本鍼灸師会

    また、これら6つの疾患以外にも、医師から「疼痛を主とした疾患」と認められれば7つ目の症状として保険適用が認められる場合があります。

    例)がんの治療中で寝たきりが多いため肩や腰に痛みを訴えるが、薬ではその痛みに対処できない時(成分の関係、体力低下などで)

    該当するような症状をお持ちの方は、かかりつけ医に相談してみましょう。

    鍼灸における保険治療の料金は厚生労働省保険局によると、以下の通りになります。(令和2年12月1日以降)

    ※2年に1度、厚生労働省保険局で法改正があるため、実際の料金とは異なる場合があります。最新の料金は各鍼灸院へお問い合わせください。

    〈鍼灸治療の保険料金一覧〉

    通常 初診料
    1術(鍼または灸) 1,550円 1,770円加算
    2術(鍼と灸) 1,610円 1,850円加算

    上記の合計金額から1割~3割負担の請求になります。保険適用の場合、負担割合や治療内容により人によってさまざまです。

    例1)初めての方・鍼のみ・3割
    初診料(1,770円)+一術(1,550円)=合計3,320円
    →3割の自己負担金   996円

    例2)2回目以降の方・鍼とお灸・3割
    二術(1,610円)=合計1,610円
    →3割の自己負担金  483円

    〈往療費〉

    受療者さまの自宅に鍼灸師が直接伺う「往診鍼灸」の場合、鍼灸治療費に加え、鍼灸師の移動費用も保険適用になる場合があります。ただし、歩行困難と医師から診断された方のみ対象となることが一般的です。

    0〜4㎞の移動 2,300円
    4〜16㎞の移動 2,550円

    こちらも上記の合計金額から1割~3割負担の請求になります。

    保険が適用されない場合について

    鍼治療で保険が適用されないのは以下の場合です。

    • 上述した7つの症状に該当しない
    • 上述した症状を他の医療機関で治療中
    • 整骨院等で並行して治療を受けた場合
    • リフレッシュ目的の鍼灸(ストレス緩和、自律神経を整えるなど)
    • 症状を予防する目的の鍼灸
    • 外傷の治療

    また、同月内で同じ箇所を複数の鍼灸院で治療した場合は保険適用外になるので覚えておきましょう。

    保険適用後の支払いや負担額の仕組み

    鍼灸院で保険を適用された場合の支払い方法には、一旦受療者さまが全額立て替えの「償還払い」と、当日から窓口支払いが一部負担金のみになる「受領委任払い」があります

    償還払い

    償還払いは、受療者さまが一度、全額立て替えをする支払い方法のことです。

    支払い後に療養費として申請をすると、保険適用の1〜3割を引いた負担額が支給される仕組みとなっています。

    負担額が手元に戻ってくるまでの期間は請求先ごとに異なりますので、請求後に受療者さま自身が各協会や組合に問い合わせをする必要があります。

    ▼関連記事
    保険適用をした後の支払額について詳しくはこちらをご覧ください。
    鍼治療の値段は?自費と保険適用との違いについて

    受領委任払い

    受領委任払いは、鍼灸治療を受けた当日から窓口での支払いが一部負担金のみになる支払い方法です。利用するには以下の条件を満たす必要があります。

    ▼受領委任払いの条件

  • 保険者が鍼灸の受領委任払いを取り入れている

  • もしくは

  • 受診する鍼灸院が受領委任払い制度の契約を結んでいる
  • 現状、後期高齢者医療制度では全国的に取り入れています。

    念のため受診前に、鍼灸院に問い合わせておくと良いでしょう。

    保険適用のための「医師の同意書」をもらう方法

    鍼灸治療の保険適用には、医師の同意書が必要です。では実際に貰うにはどうすればいいのでしょうか?

    同意書を貰う手順

    まずは同意書を貰うまでの手順を追っていきましょう。

    1. 今後通おうと考えている鍼灸院に問い合わせ
    2. 鍼灸院から白紙の同意書を貰う(ただし、自分で記載はしないよう注意)
    3. 貰った白紙の同意書をかかりつけの医師に記載してもらう
    4. 記載済みの同意書を持って鍼灸院で治療を受ける(償還払いに必要なので領収証を貰っておく)

    同意書を貰うのに必要な条件とは?

    同意書を貰うには、次の条件があります。

    一定期間医療機関で治療を受けていても効果が表れないこと

    また、症状が改善していないと医師が判断した場合も対象

    上記の条件を満たせば同意書自体は貰えますが、注意しておきたい点もいくつかありますのでまとめておきます。

    • 初診は対象外
    • 医療機関と鍼灸院を並行して受診すると医療保険が優先されるので鍼に保険が使えない
    • 整骨院等で並行して治療を受けた場合
    • 保険適用対象外の症状での同意書は書けない
    • 同意書は6ヶ月ごとに貰う必要がある

    これらの点に注意した上で条件を満たせば医師の同意書が貰えます。

    請求から支払いまでの手順について

    保険適用額を請求し、支払われるまでの流れを追っていきましょう。

    1. 医療機関を受診
    2. 医師から同意書を貰う
    3. 同意書を持参し、鍼灸院で施術を受ける
    4. 施術後は一度10割負担で支払う(償還払い)
    5. 施術を受けた月の最終施術日に「療養費支給申請書」を貰う
    6. 療養費支給申請書の自署部分へ記入をする
    7. 同意書、療養費支給申請書、領収証を健康保険組合に提出する
    8. 申請後、施術費用の7〜9割の額が申請者に支払われる

    負担額が支払われるまで時間はかかりますが、結果的に1〜3割負担で治療を受けられます。

    全額自費で鍼灸治療を受ける3つのメリット

    保険を適用することで出費を気にせず鍼灸院に通うことができますが、保険を適用させずに自費で施術を受けることにもメリットがいくつかありますのでご紹介します。

    全額自費で治療を受けるメリットは以下の3点です。

    • 重点的な治療が可能
    • 手続きの手間がかからない
    • 自分に合った治療を受けられる

    では、それぞれについて詳しく触れていきましょう。

    1. 重点的な治療が可能

    自費であれば保険の範囲に縛られずに治療を受けられるので、治りにくい場所や重症な箇所を重点的に治療することも可能です。

    保険適用外でも鍼灸師が得意な分野は幅広くあります。

    2. 手続きの手間がかからない

    同意書を貰ったり負担額の請求が面倒だと感じてしまう方もいるかもしれません。

    保険適用を考えなければ手続きの手間がなく、気軽に治療を受けられるという考えもあります。

    3. 自分に合った治療を受けられる

    自費で支払える範囲で治療ができるかを鍼灸師に相談することで、より自分に合った治療を受けられるのも自費治療のメリットでしょう。

    自費治療か保険治療か迷ったら?

    自費での鍼灸治療は、手間がなく自分に合った治療を行える一方で、負担額が増えるため結果的に「通うこと」から遠ざかってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

    保険適用範囲の治療で症状の改善が望めるのであれば、できるだけ負担が少ない方が良いので医師に相談してみましょう

    いずれにしても、あなたの心やからだの不調を改善し目的を果たすために鍼灸師はしっかりサポートします。金額の面で不安があれば、遠慮なく担当の鍼灸師にご相談ください。

    まとめ|鍼治療で保険適用を活用しよう!

    今回は鍼治療での保険適用について解説しました。

    特定の症状での鍼治療は保険の対象となり、負担額を1〜3割まで抑えられます。

    医師の同意書や請求の手順など、準備しなくてはいけないことも多いですが、保険を適用させることで経済面での不安が減少します。

    鍼灸院での保険適用について知りたい方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。

    このコラムの監修者

    三瓶 真一

    一般社団法人 福島県鍼灸師会 会長、一般社団法人 JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)監事、東北鍼灸学会 副会長、公益社団法人 全日本鍼灸学会 東北支部学術委員 

    一般社団法人 福島県鍼灸師会 、一般社団法人 JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)、東北鍼灸学会 、公益社団法人 全日本鍼灸学会

    はり師・きゅう師

    一般社団法人 福島県鍼灸師会会長として、また不妊症等の鍼灸治療では国内随一の専門団体である一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の前身である不妊鍼灸ネットワーク時代から副会長を務め、日常診療の傍ら、後進の育成に注力。国内の鍼灸師会や学会などで、年間に不妊症の講義を多数実施。(公社)第64回全日本鍼灸学会学術大会ふくしま大会の事務局長も務めた。

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