鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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毎日の生活の中で、気がつくと「トントン」と背中を叩いたり、思わず「ぐ~!」と背伸びをしていたりしていませんか?ズバリその正体は「背中のコリ」や「痛み」です。
そんなお悩みを抱えている方におすすめしたいのが、鍼治療です。
本記事では、背中のコリや痛みの原因や根本的に治すための鍼治療について詳しく解説します。
このコラムの目次
背中のコリや張り、痛みの原因のほとんどが、運動不足によって血行不良になった筋肉の慢性的な疲労です。
リモートワークをする人が増えてきたからか、「背中が張って痛い」「背中が凝った感じがする」というお声をよく聞くようになりました。
背中が凝って痛みを発症しやすいパターンとして次のことが考えられます。
背中のコリがある人なら、”うんうん”とうなずいてしまうのではないでしょうか。
背中のコリや痛みは、その部分だけではなく、背中と繋がっている肩や腰のコリも誘発してしまいます。ひどくなると、頭痛やしびれ、自律神経の乱れを引き起こす場合もあります。
▼例「ぎっくり背中」 「急に背中にピキッと激痛が走る」「背中に激痛が走り息苦しくなる」など突然の背中の症状が現れるのが「ぎっくり背中」です。背中の慢性的なコリや張りがあるときには気をつけたいですね。 |
背中の筋肉が慢性疲労を起こす前に、「根本的に改善しておきたい」と考えているあなたに試していただきたいのが、鍼治療です。
「背中の痛みとさよならできるなら、鍼をやってみたい」「でも、鍼って怖いし、どうして鍼が効くのかわからないと不安」という方もいるでしょう。
そんな方のために、この章では鍼治療についての効果やメカニズムを解説します。
はじめに鍼について知っておきましょう。
鍼治療は、ステンレスまたは銀製の鍼をツボに刺していく治療法のことです。鍼といっても、鍼先の太さは0.1㎜~0.3㎜ほどで、髪の毛の太さと同じくらい細いものです。
また鍼治療は、国家資格を持つ鍼灸師が東洋医学に基づいて、心とからだ全体に向き合う治療です。医業類似行為と認められていますので、症状によっては保険を使うこともできます。
鍼治療をすると、背中のコリや疲れが治りやすいからだを作り、解消・改善に導くことができます。なぜなら、鍼を使って背中のツボや筋肉を刺激することで、筋肉の血流改善を促せるからです。
▼背中のコリに鍼を刺した時のからだの反応
血流が改善すれば、背中のコリや痛みの原因になっている筋肉の疲労が回復しますし、自己治癒力も高まり、再発しにくいからだ作りにも繋がるといった仕組みです。
鍼治療は、筋肉のコリを解消するだけでなく、ツボを組み合わせてアプローチすることで、普段から抱えている不調も改善していきます。
人間のからだには本来「自然治癒力」や「恒常性」が備わっているのですが、現代社会の過度なストレスにより、病気やからだの不調を生み出しやすい状況にあります。
なんとなく気だるい、疲れがとれない、やる気が出ないなど「気のせい」で、すませている不調がこれに当てはまります。
鍼灸では、これらを改善するための自然治癒力に深くかかわるのが「気血の流れ」であると考え、からだのツボを刺激することで、生命エネルギーの流れを回復し、なんとなく抱えている不調の改善を促します。
ここまでの説明で「さっそく鍼をやってみたい!」と興味が湧いてきたのではないでしょうか?
ここでは鍼灸院の予約から治療までの流れを解説します。
鍼灸院は病院のように〇〇科といった標榜はありませんが、それぞれが得意分野を持っています。ご確認の上、ご自分の望む治療をしている鍼灸院を選ぶようにしましょう。
鍼灸院では密着して治療をすることもたびたびあります。そのため 新型コロナウイルス感染防止対策をしっかり行なっている院選びも大切です。
原因をつきとめ、的確な治療方針を立てるため、じっくりとお話を伺います。
問診では、痛みやコリのことはもちろんですが、根本的な原因をつきとめるために、日常生活のことや昔の病気やケガのことなど幅広くお伺いします。
一見、今の症状には関係ないと思うようなことまで伺うかもしれませんが、ぜひご協力ください。
〈当日の服装はどうする?〉 鍼治療は腕や脚にも鍼を打ちますので、手足と背中が出る服装が望ましいです。ご自分でお着替えをお持ちになってもかまいません。着替え用には短パンとタンクトップなどがおすすめです。 鍼灸院によっては、施術着を用意しているところもあるので、予約の際に確認してみましょう。 |
問診や触診(からだを直接触って確認する)をもとに、経穴(ツボ)や反応点を見つけ、適性の深さ・角度で素早く刺入します。
背中の場合は、次のように治療します。
この動作を治療に必要なツボや部位に応じて合計10本から20本ほど行います。
背中に鍼をするときに鍼灸師が注意しているのが気胸です。
気胸とは、肺の中に空気がたまり、肺が働かなくなる病気です。症状としては、咳や胸痛、呼吸困難などが出ます。
原因は、鍼を深く刺すことによるものですが、国家資格を持つ鍼灸師は、鍼を深く刺してはいけない部分や刺してはいけない方向を勉強し、日頃から細心の注意を払いながら治療をしています。そのため、鍼治療で気胸を起こす危険性は、極めて低いと言えます。
ここまで鍼治療の説明をしてきましたが、「忙しくて鍼灸院に通う時間がない」「今すぐ何とかしたい」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本章では、デスクワーク中やおうちで今すぐできる背中のコリの対処法をご紹介します。
① 両腕を胸の前で交差させ肩を掴む
肩関節が外側に離れるのを感じながら行います。これを10秒キープ×10回行います。
② 肘を曲げて、両腕を広げる
左右の肩甲骨を真ん中に寄せるようにし、胸が伸びるのを感じながら行います。これを10秒キープ×10回行います。
① 両手を頭の後ろで組む
両脚は肩幅くらいに開き、両手は組んで後頭部に置きます。
② 頭を前に倒して、首の後ろを伸ばす
両わきを閉じて、頭を前に傾けていきます。腕の重さを感じながら首の後ろを伸ばしましょう。10秒キープ×1~3セット行います。
◆ 日常ではなるべく湯船につかり背中を温める
毎日、湯船に浸かり肩まで入りましょう。湯船に浸かったら全身の力を抜いて、少し温まったら大きく深呼吸してみましょう。
◆ 夏場はクーラーの風を直接当てない
背中は汗腺が多く汗をかきやすい部分です。そのためクーラーの風を当ててしまうと、汗が蒸発してしまい冷えやすいと考えられます。
夏場でも首から背中にかけては、冷やしすぎには注意しましょう。
◆ 冬場は使い捨てカイロを貼る
背中に使い捨てカイロを貼る場合、首を前に倒したときに首元に飛び出る大きな骨の下の大椎(だいつい)から背中上部の両方の肩甲骨の間にある風門(ふうもん)あたりに貼ると、背中を冷えから守ってくれます。
ただし、長時間貼り付けておくと低温やけどになりやすいので、注意してください。
◆ 冬場はからだを冷やさない下着を着るなど
汗を蒸発させてからだを温める下着や長袖のタイプのものを着て、からだ全体を冷やさないようにしましょう。
▼今すぐなんとかしたい背中のコリは、「動かす・温める」で対処しよう! ストレッチや背中を温めることで、一時的なコリや痛みは緩和できます。 根本的に解決したい場合には、専門家(鍼灸師)にご相談ください。 |
最後に鍼灸院に関してよくあるご質問についてお答えします。
鍼もマッサージもそれぞれ症状を改善してくれますが、注意する場合もあります。
例えばマッサージは急性期の寝違いやぎっくり背中では、症状を悪化させてしまう可能性もあるのでおすすめができません。
鍼が怖いと感じる方は、急性期ではない(慢性的な)痛みが出ている背中は、まずマッサージで対処し、症状改善がないようであれば鍼にするというのもよいかと思います。
ご自分の症状や目的に合わせて選びましょう。迷ったら鍼灸師にご相談ください。
鍼灸院で使われる鍼の太さは、髪の毛と同じ程度のため、基本的には痛みはほとんどありません。。
適切な治療を行うために、急に鍼を刺すのではなく必ずヒアリングが行われますし、もし痛みが強いと感じたら、担当の鍼灸師に伝えれば調整してもらえます。
ご自分の目的に合わせて、鍼灸院の得意とする治療分野や通いやすさなどで選ぶようにしましょう。
初めての鍼灸院の選び方!失敗しない見極めポイント7つを徹底解説
新型コロナウイルス感染防止対策や、子育て・介護中などで外出が難しい方には、鍼灸師が直接自宅にきて治療を行う往診がおすすめです。
ここまで、背中のコリや痛みの根本的な解決方法として鍼治療についてご紹介しました。
なかなか良くならない、セルフケアしてもすぐにコリや痛みがぶり返すといった状況であれば、鍼灸治療という方法も選択肢の一つに考えてみてはいかがでしょう。
専門家(鍼灸師)が鍼治療を行えばあなたの背中の悩みもきっと解決するでしょう。
このコラムの監修者
児山俊浩
東洋医学総合はりきゅう治療院 一鍼:院長
(公社)日本鍼灸師会:公衆衛生事業担当 業務執行理事、広報普及委員会 委員長、東京オリンピック・パラリンピック委員会 委員、国際委員会 委員、国民のための鍼灸師将来検討委員会 プロジェクトリーダー
(一社)愛知県鍼灸師会:副会長、組織部長
(一社)日本東洋医学会、(公社)全日本鍼灸学会、経絡治療学会
はり師、きゅう師、鍼灸学修士、鍼灸教員資格、公益社団法人 全日本鍼灸学会 認定鍼灸師、国際中医師、登録販売者、介護予防運動指導員
東洋医学総合はりきゅう治療院 一鍼 院長、名古屋大学 総合診療科 統合ヘルスケアチーム メンバー、中部大学アクティブアゲインカレッジ 非常勤講師を務めるなか、ボディビルダーとしても現役選手である。さらに、名古屋大学大学院 医学系研究科 博士課程 総合医学専攻 総合診療医学に在学して、研究活動に務めている。2010年 一般社団法人 日本治療家連盟主催「第2回治療家甲子園」最優秀院受賞。著書または執筆活動として『世界へつなげたい経絡治療~反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の症例を通して~.経絡治療, 189: 15-18, 2012.』、『特定非営利活動法人での海外ボランティア 医療チームの一員としてケニアでの無料医療活動に参加.医道の日本, 73(4): 22-23, 2014.』、『Volunteering in Nepal: Case Study of a Hemiplegic Patient.North American Journal of Oriental Medicine, 24(69): 46-47 94-95, 2017.』、『統合ヘルスケアチーム参加の鍼灸師に聞く 多職種から頼られる存在となるために. 医道の日本, 76(7): 21, 2017.』等がある。