鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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「人生100年時代」とも言われる昨今、信頼できるかかりつけ鍼灸院との出会いは必要不可欠です。
しかし、街中の接骨院や整体マッサージ、リラクゼーションなどの看板が乱立する中から、何を基準に決めればいいのかわからないという方は少なくないと思います。
そこで本記事では、
と鍼灸に興味はあるけどたくさんありすぎて選びきれないと思っている方に向けて、鍼灸院を選ぶメリットや、信頼できる鍼灸院の選び方、実際に来院してからの見極め方を徹底的に解説します。
このコラムの目次
鍼灸を受けてみたい!
そう思っても、自分にピッタリの鍼灸院を見つけるにはどうしたら良いか、途方もないように感じますよね。
厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、全国の「はり及びきゅうを行う施術所」は30,000店舗を大いに上回っています。
この数字は、同時期のコンビニエンスストア数(約57,000店舗)、歯科診療所数(約68,500店舗)に迫る勢いですので、無理もありません。
各鍼灸院の得意分野はさまざまで、「鍼で治療する」ことは共通していても、考え方やアプローチの仕方がそれぞれ異なります。
そのため、鍼灸院はどこも同じではありません。
患者の不安に寄り添い、痛みを取り除いてくれる鍼灸院に出会うには、自分の悩み・痛みは何か(主訴)、それをどうしたいのか(目的)をハッキリさせる必要があります。
鍼灸院、整骨院、マッサージ(指圧)」、または「もみほぐし、エステ、整体院」等、店舗名には数多くの名称がありますが、名称を分ける大きな違いは「国家資格」の有無です。
▼「鍼灸」の位置付け
国家資格(独立開業権がある) | 民間療法 |
---|---|
・医師 ・歯科医師 ・はり師 ・きゅう師 ・柔道整復師(整骨・接骨) ・あん摩マッサージ指圧 |
・カイロプラクティック・マッサージ (タイ古式マッサージ etc.) ・エステ ・整体 ・もみほぐし |
一部保険が適用される | 保険が適用されない |
ひと昔前は、「鍼灸 = お年寄りのための治療」と思われがちでした。
しかし、「人生100年時代」と言われている中、テレワークによる運動不足が顕著化していたりとライフスタイルが多様化する現代においては、20〜40代の働き世代にも、「病気にならないための予防策」として鍼灸のニーズが拡大してきたと言えます。
また、近年は「自然とともに」を中心にした考え方が広まり、健康においても、自分自身の自然治癒力を生かした医療として、鍼灸を初めとする東洋医学が世界中で注目されていることも理由のーつでしょう。
〈病院と鍼灸院の違い〉 一般の人からみると病院は「病気の人が行くところ」というイメージが強いと思います。それに対して、鍼灸院は「なんとなくだるい」と思う程度の不調から相談できる身近な存在です。 鍼灸院が治せる未病は、「大したことはない」「病院に行くほどでもない」「気のせいだ」と思われがちな症状です。このような症状は、まさに鍼灸の得意分野です! からだや心に少しでもお悩みがある方は、気軽に相談してください。 |
参考:これからの日本の鍼灸をつくる 日本東洋医学雑誌 Vol.60 No.3、鍼灸教育への期待 第48回 全日本鍼灸学会学術大会
自分に合った鍼灸院を探すには、以下のステップを実践しましょう。
鍼灸に通うということは、自分の健康に関わる大事なことです。なんとなく決めたり、単純に通いやすいからという理由で決めるのではなく、正しく判断することが重要です。
など、自分が解決したいポイントがどこかを考えてみましょう。
課題がわかったら、それを解決してくれそうな鍼灸院を、以下の順番で探してみます。
1. 心やからだの悩みで検索 2. 院の実績や鍼灸師の経験を確認 3. 料金が合うか 4. 通いやすいか |
ホームページや予約サイトで気になる鍼灸院の情報を確認し、来院希望の店舗に、電話やメール、LINE@などで来院日を相談しましょう。
初回は、ヒアリング(問診)などがあるので、時間に余裕を持って予約してください。
いざ鍼灸院を探すときに「失敗しないためにはどうしたらいいの?」「自分にあった鍼灸院に出会いたい」と悩んでいる方に向けて、ネット情報に惑わされないためのコツを2つお教えします。
業界歴20~30年の大ベテランの先生であれば絶対大丈夫というわけではなく、20代前半の先生だからといってリスクが高くなるわけではありません。
ただ、初めて鍼灸を受ける方はひとつの基準として、口コミをよく調べましょう。良い口コミが多い鍼灸師ならば、治療経験もあり、患者との信頼関係も築ける良い先生です。
しかしながら、やはり一番大事なのは、担当の鍼灸師とご自分の相性です。
ホームページ上に「90%の人が満足しています」「8割の人が肩こりが治ったと言っています」などと掲載していることがあります。しかし、「私も改善できそう!」とすぐに食いついてはいけません。
そういった宣伝文句には、書かれていないことを見抜く視点が重要です。
このような視点を踏まえて、「自分の悩みにはどうかな」と考えましょう。
なお、アンケートの数字はあくまでも目安でしかないので、科学的根拠はありません。最終的には、治療院の雰囲気や鍼灸師の印象から得られる、自身の感覚を大切にすべきです。
ネットで下調べする際のコツに沿って、希望の鍼灸院を決められるようになりましたね。
でもいざ来院したときの不安として、「からだを任せてもいいのか」「信頼できる鍼灸師か」と決め手がわからない方に、正しい鍼灸院か判断する5つのポイントをご紹介します。
治療を受けるときに一番大切なのは、鍼灸師と患者の信頼関係です。
特に最初の問診で、患者の抱える痛みや悩みに対して、しっかり話を聞いてくれるかどうかはとても大事なポイントです。
〈丁寧な鍼灸師の特徴〉
安心してあなたのからだを任せることができるかという鍼灸師の人柄の部分は、問診の雰囲気で確かめましょう。
鍼灸師を判断するには、原因説明の内容が納得できるかで確認しましょう。根拠のない説明を打ち出している鍼灸院には注意が必要です。
鍼灸は万能薬でも、魔法でもありません。出来ないことはあります。
例えば、骨折、癌などは、鍼でいくら治療しても完治することはできません。
骨折や癌に対しては、病巣を治療するのではなく、伴って現れる症状に対して治療する代替医療としての役割になります。
そこで、鍼灸では治せない疾患についてはっきりとアドバイスをくれる鍼灸院は信頼できると言えるでしょう。
反対に「絶対に治せます!」とアピールをしている鍼灸院には気を付けましょう。
初めて訪れる鍼灸院は緊張するものですが、扉を開けて一歩中に入ったときに院内はどんな印象かというのも、決め手になります。
具体的にはこんな所をチェックしてみてください。
▼待合室
▼治療室
▼水回り
|
新型コロナウイルス感染症対策のため、常時マスクの着用や体調管理を行うなどの取り組みをしているかという事も必ずチェックしたいポイントです。
初回の問診で、からだの状態や患者の話を聞いた後に、今後の治療方針や通院の目安、料金の説明があると思います。
わからないこと、不安なこと、疑問に思っていることはなんでも聞きましょう。
とことん話し合って、「この人なら自分のからだを任せられる」と思うかどうか吟味します。
この時気を付けたいのは、理由もなく回数券を強引に勧められたり、枕やクッション、サプリメントといった物販を売り込んでくる鍼灸院は要注意です。
医療の中でも、鍼灸治療は自然治癒力を高めるという根本的なアプローチが注目されています。
鍼灸治療を行うと、自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用して、その結果として、筋緊張の緩和、血液及びリンパ液循環の改善等の作用があり、恒常性(ホメオスタシス)を保つことがで出来ると言われています。
その他にも、抗ストレス・鎮痛作用でも鍼灸の効果は期待できると科学的にも証明されています。
以下に、NIH(米国国立衛生研究所)が、科学的根拠に基づいた鍼灸の効果の検証を進めている病気・疾患をまとめました。
【神経系疾患】
◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】
関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
(原文:National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement)
最後に、鍼灸に関してよくある質問についてお答えします。
自分の悩みに対して「どうしたいのか」という目的によって変わってくると思います。
一般的には、痛いところを治したいのであれば鍼、一時的に痛みから解放されて癒されたいのであればマッサージが適しています。
また、今抱えているからだの悩みに関して「体調はすぐれないけど、病院に行くほどでもない」と思われている方には、ぜひ鍼をおすすめします。
一律に決まっているわけではないので、鍼灸院によってさまざまですが、大きく分けると自由診療と保険診療の2パターンがあります。
自由診療の大体の相場は一回につき3000~5000円ほどです。
保険診療は、保険で取り扱える6疾患(神経痛、リウマチ、腰椎症、五十肩、頚腕症候群、頸椎捻挫後遺症)で治療する場合は個人負担は1000円以下になることが多いです。
なお自由診療と保険治療では、治療内容や治療時間も違ってきますので、どちらが良い悪いというわけではありません。自由診療の価格が高い・安いというのも、治療の内容が異なるからです。
まずは、ホームページで価格帯を調べしてから来院しましょう。初回の問診でからだの状態を把握してからベストな治療内容を提案されます。料金についてわからないことがあれば、各鍼灸院に確認してください。
心やからだに不調を抱える人は、過度なストレスが原因で元々備わっている恒常性が保ちにくくなっていることが原因です。
そこで、鍼やお灸の道具を使いツボを刺激すると、からだ全体のバランスが整い自然治癒力や、自己免疫力が高まり、健康なからだを取り戻すことができるからです。
【徹底解説】鍼灸が効く仕組みとは?治療方法や注目の効果について紹介
はい。交通事故による症状(むち打ち、しびれ・関節痛、めまい・耳鳴り・頭痛、その他不調)にも鍼灸は効果的です。
また鍼灸は、自賠責保険でも受けることができます。
詳しくは、鍼灸院へお問い合わせください。
鍼灸は、基本的にはどなたでも受けられます。
しかし、以下に該当する方は、鍼治療を控えるか、かかりつけ医に一度ご相談下さい。
その他に不安がある方は、来院前に電話で鍼灸院に問い合わせてください。
最後に、今回の記事をおさらいしましょう。
鍼灸院の選び方のポイントまとめ 〈探すときの心得〉 まずは自分の悩み・痛みは何か(主訴)、それをどうしたいのか(目的)をハッキリさせる 〈ネットで鍼灸院を探す際の2つのコツ〉 1. 担当鍼灸師の経験が豊富か確かめること 2. 数字に踊らされない 〈初回来院時に正しい鍼灸師か判断する5つのポイント〉 1. 鍼灸師の問診は丁寧か 2. 説明の因果関係は成り立つか 3. 不可能なことは「無理」とハッキリ言ってくれるか 4. 院内は清潔か 5. 料金や通院目安に対する説明は明確か |
これらを参考に希望の鍼灸院を探してみてください。
しかしながら、評判や口コミ・技術が魅力的であっても、最終的な決め手は自分が会ってみてどう思うかです。
「自分のからだをこの鍼灸院・鍼灸師にお任せしたい」と思うその感覚を大切にして下さい。
このコラムの監修者
上野正博
(公社)全日本鍼灸学会 理事、北海道支部長
(公社)全日本鍼灸学会
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
(公社)全日本鍼灸学会理事及び北海道支部長として鍼灸師の交流及び鍼灸の普及に尽力。一方、スキージャンプ金メダリストの船木和喜のF.I.Tスキーチームトレーナー、(公財)日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)として活躍中。現在は、北海道ハイテクノロジー専門学校スポーツトレーナー学科学科長及び鍼灸学科専任教員として勤務。