鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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「鍼灸に興味があるけど、鍼を刺すのが怖い」
「鍼灸がどんなメカニズムで効果的と言えるのか、いまいち分からない」
という方は少なくないと思います。
そこで本記事では、
についてわかりやすくお伝えします。
初めて鍼灸治療をしてみたいけれど、少し不安に感じている鍼灸ビギナーさんは、ぜひご覧ください。
このコラムの目次
鍼灸とは、 からだ全体のバランスを整える、東洋医学の一分野です。
「鍼(はり)」や「灸(きゅう)」を使って、からだに361箇所あるとされる経穴(ツボ)に的確な刺激を与えることで、免疫力を高めて病気の予防・改善をしやすいからだを目指します。
最近では、テレワークによるデスクワーク中心の生活で、肩こりや腰痛に苦しんだり、運動不足でからだが怠い・気分が上がらないと感じるような悩みも少なくないでしょう。
鍼灸は、こうした心とからだ両方のお悩み解決に効果的な医療技術です。
東洋医学の観点では、私たちのからだには「経絡」と呼ばれる、エネルギー(気・血液・水)の通り道が張り巡らされており、その中でもエネルギーが集まりやすい場所が「ツボ(経穴)」と考えられています。
人間のからだには本来「自然治癒力」が備わっており、病気やケガを自然に治癒するように働いています。
東洋医学では、この自然治癒力を高めているのが「気の流れ」であると考えています。この気の流れが滞ると、自然治癒力が低下し、病気やからだの不調を生み出します。
そこで鍼灸を使ってからだのツボを刺激することで、エネルギーの流れを回復し、体内の異常な部位や臓器に間接的に働きかけることで症状が改善されます。これが、鍼灸でツボを刺激すると健康になると言われる仕組みです。
もう少しわかりやすく、鍼を刺したときに、からだの中で起こっている作用を見てみましょう。
このように鍼灸刺激を行うことで血行や代謝が促進されると共に、免疫力や自然治癒力も活発となり、病気の改善や、体調回復・健康に繋がります。
この他にも、鎮痛作用、ホルモン作用、自律神経作用など、鍼はさまざまな良い生物学的反応を引き起こすことが明らかになっています。
治療後に発生するこのような変化が、術後に「悩んでいた部分が楽になった」「からだが温まった」と感じるポジティブな感覚を生み出すのです。
では実際に鍼灸を受けてみたくなった方に、鍼灸院の現場でどのように鍼灸を施していくのかをご説明します。
鍼灸院では、肩こりひとつとっても原因が筋肉・頸椎・内臓・冷え・精神など様々な観点から見極めて治療方針を立てるので、どの仕組みでアプローチするかは十人十色です。
また、いきなり鍼灸施術を行うことはなく、問診や触診をもとに、経絡に沿った経穴の異常や反応点を見つけます。
▼ポイント 鍼灸治療の前には、 ・望(見る=からだの動き・表情・舌など) ・聞(聞く=匂い・声など) ・問(問う=問診) ・切(からだに触れる=触診・腹診・脉診など) を行い、病気の原因を診断し、そこから治療穴を選んでいきます。 |
ステンレス製、または銀製の鍼をツボに刺していきます。
筋肉の大きさや骨の位置をよく理解したうえで、適度の深さ・角度で素早く刺入します。鍼を上下させる・回す・振動させるなどの技法で刺激の強弱を調節したり、微弱な電気を流すことで、ツボを刺激し、さまざまな効果を生み出します。
鍼を上下させる・回す・振動させるなどの技法で刺激の強弱を調節したり、微弱な電気を流すことで、血液循環促進の効果をあげることもできます。
刺入したあとは、直ぐに抜く場合と、一定時間(10〜15分程)置鍼する場合があります。この時に、違和感が少しでもあれば遠慮なく先生に伝えてください。
▼関連情報 使用する鍼の種類は、ごう鍼・円皮鍼・皮内鍼といったタイプや、スポーツ鍼・美容鍼・小児鍼といった目的に応じてさまざまで、患者に合わせて使い分けます。 鍼は基本的に1回限りの使い捨てタイプとなっていますので、衛生面が不安な方においても安心して施術をお受けいただけます。 |
お灸は、ヨモギの葉から作られた艾(もぐさ)を使ってツボに温熱刺激を与える施術方法です。
ツボにお灸を置き、じんわり温かい状態を数分間繰り返します。
お灸の種類は大きく分けて2つあり、もぐさを捻って直接皮膚にすえる直接灸と、もぐさと皮膚の間に台座がある間接灸があります。
逆子の治療には直接灸、冷えが強い方の足のツボには間接灸を使うなど使い分けます。
ここまで鍼灸のしくみと、治療のやり方を説明しましたが、実際はどのような活用がされているのでしょうか?
本章では鍼灸がどんな症状に有効なのか、また世界では鍼灸がどのように捉えられているのかを紹介します。
以下に、NIH(米国国立衛生研究所)が、科学的根拠に基づいた鍼灸の効果の検証を進めている病気・疾患をまとめました。
※下記◎は、保険適用ができますが、医師の同意書が必要です。
【神経系疾患】
◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】
関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
(原文:National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement)
医療保険制度の違いにもよりますが、ヨーロッパやアメリカでは、病気にならないための自己防衛策として、鍼灸治療の注目度が高まっています。
最近では、WHOでも鍼灸の医療効果が正式に認められ、医療分野やリラクゼーション、免疫力向上、あるいはさらに幅広いライフスタイルの見直しの一環として、世界各国の生活へ積極的に取り入れられていることが伺えます。
医療研究者が鍼灸の効果を、様々なエビデンスをもとに証明していることも鍼灸普及の要因と考えられるでしょう。
このように世界中で信頼を得ている鍼灸は、今後ますます現代人の身近な医療の一分野として確立されていくと予想されます。
参考資料:World News 世界メディアが伝える「鍼灸」最新動向(155) 中田 健吾 /医道の日本
最後に、鍼灸に関してよくある質問についてお答えします。
次の病気については可能です。
参考:公益社団法人日本鍼灸師会
ただし医師の同意(医師の同意書)が必要のため注意が必要です。詳細や最新情報は、必ず各鍼灸院に直接ご確認ください。
鍼灸院で使われる鍼の太さは、髪の毛と同じくらい細いので、基本的には痛みや傷跡の心配はありません。ただし、皮膚には痛みを感じやすい点(痛点)があり、稀に「チクッ」とすることもあります。
適切な施術を行うために、急に鍼を刺すのではなく、必ず目視による確認や、体調のヒアリング、また必要に応じて患部に触れる触診が行われます。
もし痛みが強いと感じたら、担当の先生に伝えてください。
鍼が初めての方には先生側も十分なフォローをしてくれるので、遠慮なく相談してください。
鍼やお灸を行った後は、特別注意することはありません。普段通り、お風呂でからだを洗っても大丈夫です。
稀に、運動をした後のように重だるくなることがあります。それは「好転反応」といって「からだの修復作業を行うので、早く寝てください」という信号なので、無理をせず早めに休みましょう。
鍼の効果が一番発揮されるのは、施術を受けたその日の睡眠中です。からだを休める自律神経である副交感神経が優位になることで、自己治癒力が活発になりいつもよりぐっすり眠れます。
ぜひ、次の日の寝起きのスッキリ感を体感してみてください。
問題ありません。併用することで相乗的に効果が増すとも言われています。
もし不安であればお薬手帳をお持ちになり、医師の先生にご相談ください。
鍼灸院によって、得意分野はさまざまです。
なんとなく近くの鍼灸院に通うのではなく、鍼灸によって得たい効果や条件を考え、自分にピッタリの鍼灸院を探してみてください。
例)
新型コロナウイルス感染防止対策や、子育て・介護中などで外出が難しい方には、鍼灸師が直接自宅にきて施術を行う往診がおすすめです。
往診の際、鍼灸師の衛生管理は十分に行っているので、安心して治療を受けることができます。心配な方は予約の際に直接確認してみると良いでしょう。
往診が可能な鍼灸院は、サイト内の「鍼灸院検索ページ」から検索できます。お近くの鍼灸院を探してみてくださいね。
美容やダイエット目的にも鍼灸はおすすめです。
美容やダイエットの場合、ついお肌のお悩みや体重のみを気にしてしまいますが、東洋医学では肌や体重だけでなく、からだ全体を診て肌の荒れや体重増加の原因を治療していきます。そのため美容が目的の治療であっても、継続すれば肌質改善だけでなく、コリ改善・便秘改善・姿勢改善・痩せやすいからだ…など、健康的に美しくなるサポートができます。
その結果、美容やダイエットの治療をすることで、疲労回復・便秘改善・睡眠の改善など、様々な効果が得られるのです。
気になる方は、美容鍼を扱っている鍼灸院へ直接ご相談ください。
鍼灸がなぜ効くのかについては、あまりにも奥深いため一言で説明することは容易ではありません。
基本的には、鍼灸がからだの表面に分布している感覚神経を刺激することによって脳・脳幹・脊髄など中枢神経系を刺激し、からだ全体にさまざまな効果を表すと考えられています。鍼灸は自律神経の調整・血流改善・免疫力や自然治癒を高めるなどして、からだを健康にしていくのです。
ご自身のおからだのことで少しでも気になることがありましたら、ぜひ一度、鍼灸院へ足を運んでみてください。
このコラムの監修者
長谷川栄一
(公社)日本鍼灸師会
全日本鍼灸学会
はり師、きゅう師 あん摩マッサージ指圧師
(公社)日本鍼灸師会理事を15年勤め、一方で南京中医学院との医学交流に尽力。現在は、(一社)愛知県鍼灸師会会長、名古屋大学統合ヘルスケアチーム、中部大学非常勤講師、長谷川針灸院院長として活躍。