鍼で「痛み」が悪化することってある?対処法を詳しく解説

本記事では、鍼灸で使う鍼の「痛み」に不安を感じている方に、鍼治療で痛みが悪化するケースとその解決法ついて鍼灸師が徹底的に解説します。基本的に鍼によって痛みが増強することはほとんどありませんが、からだに起こる可能性がある症状をあらかじめ知っておくことで安心して治療を受けられるよう心の準備をしておきましょう。

鍼治療では大半の方が痛みを感じないのが一般的です。

しかし、からだに起こる可能性がある症状をあらかじめ知っておくことで、安心して鍼を受けられるように心の準備をしておきたい方もいらっしゃると思います。

そこで本記事では、

  • 鍼で痛みが悪化するケースとその対処法
  • 鍼では解決できないケース

についてご紹介します。鍼治療を受けた後、もし痛みが悪化したらと考える前に、ぜひ読んでください。

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鍼治療とは?

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鍼治療とは、からだのツボや一定点に鍼を刺入し、その刺激で痛みやコリ、からだ全体の血液の改善を促すものです。

例えば痛みがある場合「鎮痛剤を渡されて終わり」ということはなく、その痛みの原因である部位はもちろん、心とからだ全体を診ていきます。

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前提として、鍼の「痛み」や「副作用」は少ない

初めて鍼治療を受ける患者さんの中には、「鍼は痛いですか」「副作用はないでしょうか」と聞かれる方がいます。

そんなときは、いつも「痛みはほとんどありません。あったとしても髪の毛の先がチクっと刺さる程度ですよ」「副作用はほとんどありません。体調の変化として眠くなるくらいかな」とお答えするようにしています。

つまり、痛みや激しい副作用がないのが鍼灸の良いところでもあります。

ただし、鍼治療を初めて受ける方の中には、たまに血流がよくなりすぎてのぼせ気味になることもあります。例えば治療後に、以下の行動をした時は要注意です。

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鍼治療を受診した日は、できるだけ安静に、お風呂に入る場合はさっと短く入りましょう。飲酒もできるだけ避けるようにしましょう。

もし治療後に痛みが増強した場合、状況がわからないうちは自分で判断せず、鍼治療をしてくれた鍼灸師に症状を説明してアドバイスをもらうか、医療機関を紹介してもらいましょう。

痛みが悪化する3つのケースと対処法 

ここからは、鍼治療によって痛みが増強する可能性のある3つのケースと、その解決策について説明します。

1. 西洋医学の診断が必要な場合

膝や肩、足首などに痛みがあり、鍼治療をしても良くならず痛みが増してくる場合は、西洋医学の診断が必要です。 

▼解決策

鍼治療では、症状に合わせて西洋医学的な検査を行い、その症状を把握してから治療します。骨折やひび、腱断裂などが疑われる場合は、鍼治療はしません。もし治療後に痛みが増幅してくる場合は、すぐに治療をした鍼灸師に伝え、医療機関への紹介状を書いてもらうなどの対応をしてもらいましょう。

2. 鍼の刺激が強すぎる場合

鍼治療の適切な刺激量は、患者さんの体調や感受性によって異なるので、一概には言えません。

刺激量が適切だった場合は、鍼治療後のからだが軽くなりスッキリと感じるものです。

しかし、鍼治療後、からだが重くなったり、だるくなったりする場合は、鍼の刺激が強すぎると考えられます。

▼解決策

からだが重くなったり、だるくなったりする場合は、鍼の刺激にからだが慣れていないことや、好転反応のことがあります。このような場合は1~2日で重だるさは解消されるので、安静に過ごしてみましょう。体調の変化で気になることがあれば、鍼灸師の先生にご相談ください。

*好転反応とは・・・治療の過程でからだに起きる一時的な症状のこと。

3. 鍼では解決できない場合

鍼灸治療は、世界的に代替医療として多くの病気を治療できると認められています。しかし残念ながら、鍼では解決できない問題もあります。

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日常生活で首・肩のこりがひどくなる場合

鍼治療の得意分野でもある首・肩のこりですが、日常生活を見直さない限り、治療によって改善しても短期間でまた同様の症状が現れる場合があります。

そもそも、首・肩こりには、

1.  疲労による筋肉中の酸欠

2.  運動不足による老廃物の蓄積

3.  ストレスによるホルモンの不調和・交感神経の緊張

などさまざな原因があります。

さらに新型コロナウイルスによって外出自粛が推奨されている昨今では、テレワークで仕事をする人が急激に増えています。このテレワークによって、運動不足が生じたり、長時間同じ体勢でいる時間が長くなったりと、首・肩こりを自覚している人が多くなっていると考えられます。

実は鍼治療で一時的に症状を解決しても、日常生活でもしっかりと健康を意識していかないと、また同じような症状が短期間でぶり返してしまいます。

もし根本的な解決を目指したいなら、治療中に鍼灸師に生活改善のポイントなどを相談してみましょう。鍼灸院によっては日頃の姿勢や自分では気づきにくいクセも含めて指導を受けることもできますよ。

頭痛が増強していく場合

頭痛が下記のように増強していく場合は、鍼灸院に来るよりもまずは医療機関へ行くことを優先させてください。

次の症状がある場合は、特に注意が必要です。

クモ膜下出血 脳を覆うクモ膜下での出血により、激しい頭痛や吐き気が起こる。
脳出血 脳の血管が破れて出血し、脳を圧迫することで頭痛や吐き気が起こる。
脳腫瘍血 脳に腫瘍ができる、徐々に脳を圧迫することで頭痛や吐き気、意識障害などの症状が出る。
髄膜炎 脳の髄膜が細菌やウイルスなどに感染し、炎症を起こすため、頭痛や吐き気、発熱が起きる。
慢性硬膜下血腫 頭を強く打つなどの外傷により出血が起こる。頭痛や吐き気、麻痺、痺れを伴うこともある。

もし鍼灸院に来院してから頭痛が増強する場合は、先生にすぐに症状を伝えましょう。

その他の原因

鍼治療の後に手足のしびれ、めまいや耳鳴りが増強した場合は、鍼治療のみが原因でないことが考えられます。

  • 手足のしびれが増強・・・首や腰のヘルニアが原因の場合や、脳の疾患の可能性があります。
  • めまいや耳鳴り・・・突発的に起こる場合は、メニエール病や中耳炎が原因の可能性もあります。

**まとめ**

鍼治療は症状を改善させる効果が期待できる反面、体調不良を引き起こす可能性もあります。また、そもそも鍼で解決することができない場合もあります。好ましくない反応が起きたら、鍼灸師に相談してください。

鍼が痛いと感じるときは、我慢しないのがベスト

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鍼の治療中に、実際に痛みを感じる人はほとんどいません。というのも、鍼は髪の毛程度の繊細な細さだからです。痛みを例えるなら、蚊に刺された程度と考えましょう。

もし痛みを感じるようであれば、先生に「痛い」ということを伝えてください。鍼灸師は、痛みの軽減に向けて適切に対応します。

繰り返しになりますが、鍼は肩こりや腰痛などの症状の改善が期待できる治療法です。同時に、からだ全体の状態も整えてくれる効果があります。

「肩こりが良くなったけど、からだ全体も楽になった」

「からだ全体が軽くなったし、よく眠れるようになった」

というお声をいただきますが、これがまさに鍼治療の効果です。

そして鍼治療は、国家資格を持つ「はり師」にのみ許された行為です。薬に頼ることなく治療したい方の力強い味方でもあります。

効果を体感すると、きっと鍼治療から離れられなくなりますよ。

【Q&A】鍼治療に関してよくある質問

いよいよ鍼治療への一歩を踏み出せるときが来たのではないでしょうか。それでもやはり…という方のために、鍼治療の仕方に関してよくあるQ&Aにお答えします。

Q:鍼治療とマッサージはどちらを選べばいいですか?

基本的に個人の好き嫌いや合う・合わないによって異なりますが、陸上選手やサッカー選手など「マッサージで違和感を残したくない」場合は鍼治療を受ける傾向が見られます。

ぎっくり腰や寝違いのような急性疾患の場合は、鍼治療をおすすめします。この場合、マッサージを受けると症状が悪化する可能性があるからです。リラクゼーション的に全身リラックスしたい時などはマッサージがおすすめです。

慢性的な肩こりや首こり、腰痛の場合は、鍼治療でもマッサージでもお好みのほうでかまいません。ただし、鍼のほうが症状の部位に深くアプローチしやすいので、先にマッサージを受けてから鍼に切り替えるのもありです。

全体的にからだをすぐにゆるめたい場合は、一般的なマッサージを、根本的にからだを治したい場合は鍼治療をおすすめします。

Q:なぜ鍼治療は効くのですか?

鍼治療は、痛みのある部位やツボを刺激することで、血流を改善しさまざまな効果を与えてくれます。

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Q:鍼治療を安心・安全に受けるためのコツはありますか?

鍼治療を安心・安全に受けるためには、以下のようなポイントから信頼できる鍼灸院を見つけましょう。

  • 国家資格「はり師」「きゅう師」を取得している専門家が治療をしてくれるか
  • 治療中、治療後に体調の変化などがあればすぐに対応してくれるか
  • 治療当日は激しい運動や長い入浴、飲酒は避けるなど患者本人もに気をつけること

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Q:鍼治療をおすすめできない人はいますか?

基本的に、鍼治療を受けられない人はいません。

鍼治療は、症状や個人差によっては即効性を感じられることもありますが、基本的にはゆっくり効果を感じます。何度か鍼治療を受け、気がつくと「からだが楽になっていた」と感じてくる方が多いです。

まとめ|鍼治療の正しい理解で、痛みへの「不安」を「楽しみ」へ

今回は、鍼治療には痛みや副作用はほとんどないことや、鍼治療で痛みが増強したときの対処法、鍼では治療できない場合などをご紹介しました。 

ここまで読んでいただければ、鍼灸に対する頭の中の不安がなくなってきていると思います。それでもまだ不安なことがあれば、鍼灸院に行き、鍼灸師にぜひ相談してくださいね。

このコラムの監修者

上野正博

(公社)全日本鍼灸学会 理事、北海道支部長

(公社)全日本鍼灸学会

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

(公社)全日本鍼灸学会理事及び北海道支部長として鍼灸師の交流及び鍼灸の普及に尽力。一方、スキージャンプ金メダリストの船木和喜のF.I.Tスキーチームトレーナー、(公財)日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)として活躍中。現在は、北海道ハイテクノロジー専門学校スポーツトレーナー学科学科長及び鍼灸学科専任教員として勤務。

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