鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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鍼を固い筋肉や緊張したツボに刺すと、「ズーン」とだるさを感じることがあります。これが「ひびき」と呼ばれる、鍼特有の感覚です。この感覚は、マッサージで、痛みのある部分を押さえると、痛気持ちいいと感じるのと同じようなものです。
そこで本記事では、「ひびき」がどんなものか、どうして「ひびき」が起こるのか、どんな効果があるのかをくわしく解説します。
このコラムの目次
鍼の「ひびき」という言葉を聞いたことがありますか?
「ひびき」とは、鍼を刺した時に感じる特有の感覚のことです。“ズーン”としたり、同心円状に“ジワッ”と広がったり、逆に“ビッ”と鋭く走るような感覚であったりと、鍼を受ける人によってさまざまです。
鍼を受けたことがない方にとって、鍼治療の「ひびき」は“痛い”とか“怖い”というイメージを持たれるかもしれませんが、実は鍼を日頃からよく受けている患者さんの中には”気持ちが良い”とか“心地良い”と表現される人も少なくありません。
Q:「ひびき」は誰もが感じることができるのですか? A:いいえ。「ひびき」を感じることは、硬化した筋肉に鍼が当たっている証拠です。逆に感じないなら、筋肉が固くない、つまりからだが良い状態であることも考えられます。 |
実は日本国内で用いられている鍼はとても細いために、注射針を刺すときのように“チクッ”とした痛みを感じることはほとんどありません。初めて鍼を体験する人は、痛みがないことに驚かれる方も多いと思います。むしろ今までに経験したことがない「ひびき」の心地良さで、鍼灸院に通われるようになる方もいらっしゃいます。
では鍼の「ひびき」は、どのようにして起こるのでしょうか?
「ひびき」は、鍼を刺した皮膚の周囲の感覚を伝える神経が興奮して、感覚として認識することで起こります。
例えばお湯を触ると熱かったり、指圧をされると押されている感じがあったりするのと同じような感覚です。つまり鍼の刺激によってからだが反応し、痛みなどの症状の改善や全身の調整が行われるのです。
とはいえその程度は、鍼の太さや刺す深さ、その日のからだの状態などさまざまな要素が関係して変わってきます。
鍼の「ひびき」は、筋肉の深層を刺したときに起こることが多く、固くなった筋肉を和らげてくれると共に、その部位に血液を集め血行促進してくれる効果があります。
たとえば慢性の肩こりや腰痛で、筋肉が固くなっている部位に表面だけに鍼やマッサージをしてもなかなか改善できません。そんな場合に、「ひびき」を感じる鍼をすると、慢性の症状も驚くほど改善されます。
もし鍼を受けたときに「ひびき」を感じ、それがあまり気持ちよくない、むしろ好きではないと思ったときは、すぐに担当の先生に伝えましょう。 |
ここまで鍼の「ひびき」について解説してきましたが、そろそろ鍼の「ひびき」を体験したいという気持ちが高まってきていると思います。
そこで、実際に鍼灸院の探し方や予約、治療までのプロセスを段階ごとに説明します。
鍼灸院は、それぞれ得意分野があります。
近くに鍼灸院があるからというのではなく、ご自分の悩みに合わせ、鍼灸でどんな効果が得たいかを考え、解決してくれる鍼灸院を選ぶようにしましょう。
ホームページやインスタグラム、口コミサイトなども参考にできます。
ホームページや予約サイトで、気になる鍼灸院の情報を確認します。口コミもしっかり確認してみましょう。
来院したい店舗に、電話やメール、LINE@などで来院日を相談します。初回はヒアリング(問診)などがあるので、時間に余裕を持ち、予約するようにしてください。
来院日は、時間通り来院しましょう。ヒアリング(問診)で、からだの状態を伺ってから、いよいよ治療が始まります。
鍼の治療は、患部をアルコールの綿花などで消毒してから始めます。先生は症状や患部に合わせて、鍼の種類を選び、患部やツボに鍼を刺入します。すぐに鍼を抜き去る場合や数分から20分ほど鍼を置く(置鍼:ちしん)場合があります。
灸の治療は、よもぎの葉の裏にある綿毛を精製して作るもぐさを丸め、線香で火をつけて治療するタイプや、もぐさに紙の台座をつけた台座灸、筒状のお灸など、種類もさまざまです。症状や患部に合わせて使い分けていくことがほとんどです。
最後に、鍼についてもう少し知りたいという方へ、よくある鍼に関する質問にお答えします。
鍼の「ひびき」による痛みや腫れはほとんどありません。
もし、刺入した後の「ひびき」をあまり気持ちよいものでなく、“痛い”と感じた場合は、鍼の刺激が過剰になっている可能性があるので、担当の先生に伝えてください。鍼を調整してもらえますよ。
鍼は多くの疾患に対して有効であるといわれています。
下記にNIH(米国国立衛生研究所)が、科学的根拠に基づいて鍼灸の効果の検証を進めている病気・疾患をまとめました。
【神経系疾患】 ◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】 関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】 気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】 バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
(原文:National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement)
鍼は疾患だけでなく、自律神経の調整も得意とする分野です。自律神経は全身の器官を調整しているので、不調に陥ると、内臓やあらゆる筋肉・精神までに影響を及ぼしますし、なかなか自力で回復するのが難しいと言われます。鍼治療で回数を重ねることで自律神経を調整すれば、副作用の少ない体調回復が期待できます。
ご自分で鍼を刺すのは危険です。鍼は医療機器のため、資格を持った鍼灸師や医師のみに使用が許可されています。鍼治療を受ける場合は、必ず鍼灸院に行くようにしましょう。
新型コロナウイルス感染防止対策や、子育て・介護中などで外出が難しい方には、鍼灸師が直接自宅にきて治療を行う往診がおすすめです。
往診の際、鍼灸師の衛生管理は十分に行っているので、安心して治療を受けることができます。心配な方は予約の際に直接確認してみると良いでしょう。
往診が可能な鍼灸院は、サイト内の「鍼灸院検索ページ」から検索できます。お近くの鍼灸院を探してみてくださいね。
鍼の「ひびき」とは、鍼を刺入したときのからだの反応で、鍼特有の感覚です。
この「ひびき」を心地よく感じられるようになると、鍼治療の効果がからだにしっかり効くようになります。
本記事を読んで「『ひびき』を感じてみたい」「少し気になる」と思われたら、ぜひ鍼灸院に予約を入れてみてください。
あなたにぴったりの鍼灸との出会いを応援しています。
このコラムの監修者
櫻庭陽
国立大学法人 筑波技術大学 保健科学部附属東西医学統合医療センター 准教授
(公社)全日本鍼灸学会、日本臨床スポーツ医学会、日本透析医学会、日本統合医療学会
はり師・きゅう師、健康運動指導士
統合医療施設で鍼灸外来を担当。研究領域は、スポーツや健康運動、血液透析医療、M-Testのほか、鍼灸あん摩マッサージ指圧師のリカレント教育にも携わる。全日本鍼灸学会スポーツ鍼灸委員会委員、学校法人滋慶学園 東京メディカル・スポーツ専門学校教育課程編成員、M-Test研究会インストラクター。