鍼治療の効果が出るのはいつから?効果を感じるためのコツや通院スケジュールも解説
2022.07.13
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突然、顔や首が熱くなったり、暑くもないのに汗が止まらなくなったり・・・「もしかして、更年期障害かな? 」と急なからだの不調に不安を抱える方もいるでしょう。
不快さを感じていながらも病院へ行かずに我慢し続け、からだだけでなく心まで追いつめられる場合もあります。そうなる前に、まずは自分でできるケアから試してみませんか?
そこで本記事では、セルフケアでできる対策や受けられる治療について解説します。ぜひ参考にしてください。
このコラムの目次
更年期障害とは、ホルモンバランスの乱れによって起こるさまざまな症状のことを指します。
個人差はありますが閉経の平均年齢は約50歳で、この閉経の時期を挟んだ前後5年間を「更年期」と言います。早い人は40代前半、遅い人では50歳代後半で閉経を迎えます。
更年期障害は卵巣機能の低下にともない、この更年期に女性ホルモンの分泌が急激に減少することで起こります。
また、加齢などの肉体的ストレスや精神的ストレス、人間関係などの社会的ストレスが複合的に関わることで発症するとも考えられています。
更年期の症状は人によってさまざまですが、次のような症状が一般的です。
初期症状 | 肩こり、疲れやすい、頭痛など |
代表的な症状 | ホットフラッシュ、ほてり、発汗、不眠、イライラなど |
症状は身体的なものだけではなく精神的なものもあります。ほとんど症状を感じない人もいれば、日常生活に支障をきたすほど酷くなる人もいて症状の個人差は大きいでしょう。ただ何れにせよ、日常生活のストレスはできるだけ少なくして元気に過ごしたいものですよね。
そこで次章では、できるだけ楽に更年期障害の乗り越えるためにご自身の力でできる対策を紹介します。
更年期障害の対策として、食生活の見直しや運動の習慣化、サプリメントの摂取などがあげられます。
以下にそれぞれの方法をまとめたので、できそうな方法を選んで日常生活に取り入れてみましょう。
まずは食事で意識できることを紹介します。
急激に減った女性ホルモンを補うために摂りたいのは、エストロゲン(=女性ホルモンの一種)に似た働きをするイソフラボンを含む食材です。
【おすすめの食材】大豆食品(豆腐、納豆、黄粉、豆乳など)
大豆にはたんぱく質やビタミンE、悪玉コレステロール濃度を下げるオレイン酸、血中のコレステロール濃度を下げるリノール酸、ミネラル、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれているため、積極的に食事に取り入れましょう。
▼ポイント イソフラボンの理想的な摂取量は一日に40mg~50mgです。納豆なら1パック、豆乳だと200mlほどを目安にしましょう。 |
また、特定の商品の過剰摂取やカロリーの高い食品、偏った食生活は避け、栄養バランスの良い食事を心がけることも大切です。
更年期対策には運動習慣も取り入れましょう。
女性ホルモンが減ると、コレステロール値の増加や高脂血症のほか、メタボリックシンドロームのリスクも高くなります。また、女性ホルモンの減少に相対して男性ホルモンが増えるため、内臓脂肪を溜め込みやすく、更年期太りの原因にもなります。
なのでその対策として、ウォーキングやジョギングを最低20分から始めてみましょう。からだに負担が少ない水泳もおすすめです。
更年期の女性に対する研究でも、ランニング程度の運動で更年期特有の症状の改善が見られたという結果も出ています。
参考文献:更年期女性に対する健康教育に関する過去10年間の文献検討
また運動の習慣は、脂肪の燃焼や代謝の促進、生活習慣病の予防、筋力の維持、精神的ストレスの解消など、さまざまな効果に繋がります。
ただし無理は禁物です。自分の体調に合わせて無理なく続けられる運動や、散歩や買い物など、日常生活の中でできることから始めましょう。
「忙しくて運動する時間がないけど、せめて血行を良くしたい…」という方は、下記の関連記事をご覧ください。
1で紹介した食事の見直しが難しい方はサプリメントで補う方法もあります。
イソフラボンやプラセンタ、サポニン、エクオールなどが配合されているサプリメントが代表的です。
サプリメントを自己判断で飲むことに抵抗がある人は、医療機関を受診し担当医師に相談してみましょう。
上記のセルフ対策はすでに実施されていたり、強い症状に悩んでいる方は病院での治療を検討している方もいらっしゃるかもしれません。代表的な治療法をご紹介します。
ホルモン補充療法とは、減少したエストロゲンを補充する療法で、飲み薬や貼り薬、塗り薬があります。
不正出血や胸の張りなどの副作用があり、乳がんや子宮がん、血栓症の既往歴がある人は治療が受けられないことがあります。
漢方薬は副作用が少ない東洋医学の療法で幅広い対応が可能です。病名に対して診断されるのではなく、表れている症状や、その人の体質などに合わせた漢方薬が処方がされます。
他の病気で治療中などの理由で女性ホルモン剤が使えない人の場合、漢方薬が第一選択療法になることもあります。
更年期の気分の落ち込みや情緒不安定、不眠などの症状がひどい場合は、抗不安剤や抗うつ剤などが使われることがあります。
精神薬について不安な方は、担当医師に相談してみましょう。
年齢的に更年期障害だと思うけど、違う気もする・・・もしかして違う病気かな?と、症状が出始めで病院で診察を受けていない方は不安になりますよね。
更年期にはさまざまな症状が出ますが、他の病気が潜んでいる可能性もあります。
とくに更年期障害と間違われやすいのが甲状腺疾患で、亢進(こうしん)症と低下症の2つに大別されます。本章では、それぞれについて解説します。
甲状腺ホルモンの量が多くなる病気で、代表的なのはバセドウ病です。
▼主な症状 過剰な発汗、血圧の上昇、動悸、睡眠障害など |
更年期障害とバセドウ病の見分けは自己判断では難しいため、医療機関での検査が必要になります。
甲状腺ホルモンが不足する病気で、代表的なのは橋本病です。
▼主な症状 倦怠感や食欲の低下、皮膚の乾燥、髪の毛が抜ける、太る、抑うつなど |
更年期の症状と似ているため、更年期障害だと思い込み、橋本病の発見が遅れることが少なくありません。更年期障害との違いは、汗が出ないことやホットフラッシュが無いことです。
どちらも見分けることは難しいため、心当たりがある方は自己判断せずに医療機関で診断を受けましょう。
冒頭でも説明した通り、女性の更年期は閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間です。それに合わせて、症状も自然と治っていくと言われています。
自然に治るとはいえ、長期間症状が続くのは不安ですよね。そこで次章では病院以外で更年期の症状の緩和を望める治療法をご提案します。
病院に行くほどでもないけどセルフケアでは物足りない、薬は副作用が心配…という方におすすめなのが、心とからだ全体のバランスを整え不調を改善する鍼灸治療です。
鍼灸治療は、鍼(はり)やお灸(きゅう)を使いその人の体質や症状に合わせたツボを刺激することで血行を良くし、自然治癒力(=治ろうとする力)を高め、さまざまな不調の改善を導く治療法です。
不調の根本的な原因に対して鍼やお灸でツボを刺激して調節をはかるため副作用が少ないと言われています。
鍼灸治療は「不定愁訴」(=明確な原因がないのにからだに出る不調)と呼ばれる症状に有効とされています。
NIH(米国国立衛生研究所)は、更年期の症状でもある肩こりや頭痛、動悸などの症状について科学的根拠に基づいた鍼灸の効果検証を進めています。
「更年期っぽいけど、気のせいかな」と思うような不調を抱えている方は、ぜひ一度鍼灸院へご相談ください。
本記事では更年期障害の対策について説明してきました。
年齢的なものだからと我慢してしまいがちな更年期の症状ですが、セルフケアで改善しなければ無理をせず病院を受診しましょう。
もし、病院に行くほどでもない、薬は飲みたくないという方は、別の選択肢として鍼灸治療を検討してみてはいかがでしょうか。
このコラムの監修者
河原保裕
アコール鍼灸治療院院長
公益社団法人埼玉県鍼灸師会会長
公益社団法人全日本鍼灸学会、日本中医薬学会
はり師、きゅう師、マッサージ師
東京衛生学園専門学校卒業。 黒田病院、牧田中医クリニックを経て、アコール鍼灸治療院開業。 牧田中医クリニック勤務時に天津中医学院第一附属病院(現天津中医薬大学第一附属病院)に研修留学。 主な公職は公益社団法人埼玉県鍼灸師会会長、埼玉鍼灸学会幹事、日本中医薬学会評議員、認知症G-QPD認定委員、東洋療法学校協会臨床実習指導員。東京衛生学園専門学校とアルファ医療福祉専門学校で中医鍼灸を担当し、鍼灸師育成に努めている。